「第26回 全日本身体障害者野球選手権大会」岡山桃太郎が5連覇 日の丸戦士が牽引し、王者の戦いを見せる
決勝では”世界一”のエースが完封
そして翌日に行われた決勝戦は、神戸コスモスとの対戦となった。神戸は、日本における身体障害者野球の第一号となったチーム。 元阪急ブレーブスの”世界の盗塁王”・福本豊氏と交流したことがきっかけとなり、1981年に故・岩崎廣司氏(前日本身体障害者野球連盟理事長)が創設した。 春の選抜大会優勝20回・秋の選手大会優勝16回を誇り、世界大会でも山内啓一郎監督(日本身体障害者野球連盟理事長)を始めコーチ2名・代表選手3名を送り込む名門チームである。 神戸は初日に2連勝し、16年以来の優勝を目指すべく王者・岡山へ挑むことになった。 試合は岡山が序盤からリードを奪う展開になった。初回に3点を奪い主導権を握ると、先発の早嶋健太が快投を見せて神戸打線を抑え込んだ。 早嶋は日本の絶対的エースとして長く君臨し続け、前回・前々回の世界大会では世界一の原動力となり連続MVPを獲得。 打ってはリードオフマンを務め、前日の名古屋戦でもタイムリーを放つなど投打でチームを引っ張っている。 左手に先天性の障害(左上肢手指欠損)がある早嶋は小学5年生から野球を始め、大学まで健常者チームでプレー。 甲子園を目指した高校時代には1年秋からレギュラーを掴み、中国六大学リーグの吉備国際大時代には100名を越える部員の中からベンチ入りメンバーに選ばれた。 大学時代に世界大会の存在を知ったことをきっかけに、16年に入団。17年の本大会で全国優勝に導き、年間MVPを受賞するなど早くから頭角を表し現在に至る。 早嶋は決勝のマウンドでも躍動し、6ー0で完封勝利を収めた。岡山は神戸以来となる秋の選手権大会5連覇を達成した。
槙原が初の年間MVPに選出
閉会式では表彰式が行われ、大会MVPには早嶋・そして2024年の年間MVPに槙原が選出された。 早嶋は大会を振り返り、 「やり切ったというのが1番です。6月春の全国大会での敗戦(優勝した香川チャレンジャーズに敗退)から、”次は絶対に負けない”と強い気持ちを持ち続け日頃の練習に取り組んできました。その結果が出たのはさらに自信となりました」と語った。