【山口県】ものづくりの下松、世界にPR 日立電車陸送イベントに5万人 10社の企業フェアも人気
山口県下松市の㈱日立製作所笠戸事業所で製造された鉄道車両を陸送するイベント「道路を走る鉄道車両見学プロジェクト」が27日、日立笠戸とJR下松駅間の県道3.3キロで開かれた。5年ぶり3回目の開催で、沿道を埋めた市民や鉄道ファンら約5万人が楽しんだ。 (山上達也、坂本南海)
600両目の最後の車両を陸送公開
市、下松商工会議所など実行委員会(委員長・弘中善昭下松商工会議所会頭)が主催。1回目の2017年は約3万人、2回目の19年は約3万5千人の見学客が集まった。 今回陸送したのは台湾向けの在来線の特急車両「EMU3000型」2両。日立が国営台湾鉄路から600両を受注したもので、最終出荷になる両先端の車両を、ロジスティード西日本㈱の専用トレーラーに乗せて陸送した。
「近くで見ると長くてびっくり」
日立笠戸で開かれたスタートセレモニーでは、弘中実行委員長と岩崎充雄日立製作所理事があいさつ。村岡嗣政県知事▽国井益雄市長▽佐川哲日立笠戸事業所長▽荒瀬真東洋鋼鈑下松製造所長▽坂口和久ロジスティード西日本㈱業務執行役員も加わってテープカットをした。下松小吹奏楽部の演奏は、あいにくの雨で中止になった。 大型トレーラーに乗せた鉄道車両は県道をゆっくり走り、沿道はカメラやスマートフォンを手にした人たちが埋めた。下松駅周辺の歩道は立錐の余地がないほど。スタッフは425人で、会場の警備や整理は下松警察署員や下松商工会議所青年部員、市職員らが活躍した。 下松駅近くの県道でも鉄道車両2両の前でセレモニーが開かれ、国井市長と村岡知事があいさつ。くだまるダンスや、新幹線車両の先頭構体の打ち出し板金技術を持つ㈱山下工業所製のアルミのバイオリンとチェロの演奏が披露された。 市内の男児(9)は「近くで(鉄道車両を)見ると、とても長くてびっくりした」と驚いた様子。神戸市北区から来た佐藤則彦さん(41)は「昨夜は下松に泊まった。新品ピカピカの電車が道路を走るなんて夢のよう。この電車に乗るために台湾に行きたい」と興奮気味。台湾・新北市の男性(37)は日本語で「台湾ではこんな行事はない。素晴らしい」とたたえていた。 弘中実行委員長は「国内向けの鉄道車両の陸送公開は難しいので、今後も海外向けの鉄道車両の公開を機会があれば検討していきたい」と、次の開催に意欲を示していた。