「ある日、帰宅したら家がもぬけの殻だった」。離婚で「逃げられた」場合、続いて起きることは
これも妻と子どもに権利がなかった時代から続く、ある種のバイアスなのだろう
本来ならば調停の手前で協議離婚として話し合い、今後養育にかかわる条件をどうするかを決めてから夫婦が分かれて住むべきところ、日本はいきなり連れ去る「誘拐」が常態化しているのが問題なのだそう。 また、アメリカの場合、子どもの健全な成長を第一に考え、何歳児ならばどのくらい会えるべきという面会時間の基準がありますが、日本はその時間が極めて少ないうえ、会えるようになればまだマシというのが現状とも。 「DVから逃げる場合は別として、そもそも単独親権を争う仕組みでなければ連れ去りなど起こさなくて済みます。このことに皆さんあまり気づいていません。結婚生活がうまくいかなくなりました、では別居した場合の生活や養育の費用、子どもの養育そのものをどうするか話し合いましょうと、協議してから別れるのが本来の姿です。でも、話し合う制度がないので自分たちだけでは話にならず、親権確保のために連れ去る。本来はここに司法の支援が必要なのです」 連れ去られて怒りを抱えた相手と争うため、調停や裁判は誹謗中傷合戦になりやすい。悪くすれば連れ去られた側が抑うつ状態に陥り、養育費どころではなくなることもあるそうです。 「話し合いで決める協議離婚、司法が仲裁に入る調停離婚、裁判で決める裁判離婚と段階が進んでいきますが、調停や裁判の場でお互いの悪口を誇張して言い合う事態にほとんどの人が苦しみます。ただでさえ別れて暮らす選択をして不安定でつらいところに、追い打ちをかけるように争いのダメージをくらう。そして、その争いの姿を子どもが見てしまいます」 確かに、両親の離婚を経験した友人のうち、調停が長かったおうちはかなりあとになるまで離婚そのものを口にしませんでした。隠していたのではなく、親のいさかいがつらくて口にできなかったのだと、今になればわかります。 「その間、数年間にわたる弁護士費用も裁判の労力も、精神的負担もすべてが両親にかかっていきます。離婚を手掛ける弁護士が言うのもなんですが、こんなことにお金を使わず、子どもにお金をかけてほしい。それもこれも、単独親権で争う必要があるから起きることです」