「東京お台場トリエンナーレ2025」が初開催へ。建畠晢、三木あき子、山峰潤也のキュレーションにより台場公園やフジテレビで作品を展開
東京・お台場地区を舞台とした新たな国際芸術祭「東京お台場トリエンナーレ2025」が開催される。会期は2025年10月18日~12月25日。 本芸術祭は東京の臨海副都心・お台場にある台場公園、フジテレビ本社屋、フジテレビ湾岸スタジオ、日本科学未来館などを舞台に開催される芸術祭。主催を東京都とお台場トリエンナーレ実行委員会が、実行委員長をフジテレビジョン取締役副会長の遠藤龍之介が務め、アーティスティック・ディレクターには建畠晢、三木あき子、山峰潤也が名を連ねる。 第1回のテーマは「泰平の眠りを覚ます上喜撰 ―野生とカオスと新世界―」。「泰平の眠りを覚ます上喜撰」は、幕末に黒船に乗ってアメリカ海軍提督のペリーが浦賀に来航したときの混乱を詠んだ狂歌だ。芸術祭の舞台となる台場公園は、このときに黒船に対抗するために築かれた砲台の跡であり、お台場という地名の由来にもなった。こうした歴史的遺構と新たに整備された街並みが共存するお台場に、新たな世界を切り開くための潜在的なエネルギーと、野性的なバイタリティとして「野生とカオスと新世界」を見出し、アートの力によってその魅力を街にもたらすことを目指すものとしている。 アーティスティック・ディレクターの三木は本芸術祭のコンセプトについて次のように語った。「変化を乗り換えるしなやかさを、そしてこれからどう生きていくのかを立ち止まって考えることを念頭に、3人のディレクターで話し合ってつくっている。3人はそれぞれ異なるアプローチで作家を選定。自分は、お台場の環境、そして住人など場所との対話を重視し、芸術の可能性を広げる作品を選定している」。 建畠は次のように本芸術祭のコンセプトを語った。「黒船を迎え撃つための砲台は結果的に使われず、平和裏の開国を象徴しているともいえ、整然とした埋め立て地と対象的な野性味を感じるものだった。この異なる性格を踏まえたうえで、従来にないスリリングな環境として活かすことを目指した。自然への回帰ではなく、都市そのものが有している野生を砲台跡の台場公園に見出し、野性的なインスタレーションの制作を依頼する予定だ」。 山峰はキュレーションにおける自身の立場を次のように語る。「3人で話すなかでたくさんの逡巡があり、それによっていろいろな考え方が見えてきた。新世界という視点に立ってキュレーションをしようと考えており、自分が育った90年代は画一的な風景が広がっていき、さらに地下鉄サリン事件、阪神淡路大震災、そしてアメリカ同時多発テロに向かっていく、まさに世紀末のような時代だった。いっぽうでインターネットという自由さも現れた時代。お台場はそういった時代の感覚を象徴しているような都市であり、そこに新たな出発点を見出したい」。 第1弾として発表された参加作家は、草間彌生 、笹岡由梨子、アブラハム・ボワンシュヴァル、ヤギの目、ルー・ヤン、ブラスト・セオリー。最終的な参加作家は約40名ほどになる予定だ。また、メインビジュアルはデザインユニット・KIGIが手がけた。