【大学野球】家族も見届けた集大成 歴代7位の通算118安打…明大・宗山塁が神宮で残した確かな足跡
笑顔で試合後の整列に
法大2回戦。明大2点リードで迎えた9回表、二死からの打球を遊撃手・宗山が軽快にさばいて、ゲームセットとなった。野球とは、そういう巡り合わせがある。喜怒哀楽を見せない宗山が、笑顔で試合後の整列に加わった。 「(9回からは)浅利(浅利太門、4年・興國高)がマウンドに立っていて、シーズン終盤になるにつれて『浅利が投げてくれれば大丈夫』という安心感が増していました。最後、自分のところに飛んできて、自分で終わる形になって少しホッとしました。ドラフトで指名していただいて、一つ最後、良い形で終われたのでホッとした気持ちになりました」 ドラフト後、宗山を取り巻く環境は明らかに変わった。注目度がさらに増した。前日の1回戦後、神宮を引き揚げる際には、球場正面に多くのファンが出待ちしていた。 「そこ(注目)に関しては特に気にしていませんが、多くの観衆が足を運んでくださることは、すごくありがたいこと。東京六大学が盛り上がるのは、皆、うれしいと思うので、そこに貢献できたのは良かったです。これからは結果が求められ、結果を残していかないといけない立場になるので、自分を見に来てもらえるような選手になりたい」
すでに、プロのとしての自覚が芽生えている。法大2回戦後は両校のエール交換に立ち会い、背番号10の主将は特別な時間を過ごした。 「この神宮球場で4年間、成長させてもらえたな、と振り返りました。応援がどれだけ大きいかも、ゲームに出させてもらって感じたことです。これまでを振り返って、感慨深いものがありました」 指導者、先輩、後輩、応援してくれるファンへの感謝は、語り尽くせない。宗山は記者会見の最後に、家族への思いを語った。 「ここまで野球を続けさせてもらったことに感謝したいですし、一番は元気にプレーしている姿。春はケガもあったので、そこを見てもらえたのは良かった。これからも、自分が活躍する姿を見てもらいたいと思います」 最高の親孝行ができた。宗山は広陵高から寮生活。たくさんの家族からのサポートがあって、大学までを過ごした。本当の意味での恩返しは、仕事として野球をするプロ入り後だ。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール