神野美伽「時代が求めた歌手・笠置シズ子。型にはまらない、自由でエネルギッシュなスタイルに影響を受けて」
今夜のNHK『うたコン』で笠置シズ子の「ラッパと娘」を神野美伽さんが生歌唱! 1977 年『東西対抗チビッコ歌まね大賞』の出演をきっかけにスカウトされ、1984 年、高校卒業とともに歌手デビュー、以来40年に渡って歌い続け、近年では海外でも活動する神野美伽さん。ステージを縦横無尽に駆け回るパワフルなスタイルから、いま朝ドラで話題の笠置シヅ子さん役として音楽劇『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』の主演を務めた。笠置さんをはじめとする昭和の歌手に受けた影響と、自身の歌手人生を振り返る 【写真】笠置さん役で歌い踊る神野さん * * * * * * * ◆ブギの女王 この秋から始まったNHK朝のドラマ『ブギウギ』。 ブギの女王と呼ばれた笠置シヅ子さんをモデルにしたその放送からは、従来の朝ドラよりかなり多くの歌が流れ、そのシーンを楽しみにしておられる方も沢山おいでのことでしょう。 私もそんな一人。 時代的には遠い方ですので、当然一度もお会いできる事はありませんでしたが、歌手として舞台の上で生きる表現者として、とても身近に感じる大好きなアーティストです。 笠置シヅ子という女性を通して私自身がいま思うこと、読者の皆さんにお話しさせていただこうかと思っております。
◆世の中にエネルギーを 正直、私と同じ世代の読者の方でも、1914年生まれの笠置さんをご存知の方は少ないことでしょう。 斯くいう私も、2019年の秋に『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』という音楽劇を演(や)らせていただくことがなければこれほど笠置シヅ子というアーティストに傾倒することはなかったと思います。 その公演が実現する5年近く前、プロデューサーが私の楽屋を訪ねていらっしゃり「神野さん、笠置シヅ子を演(や)りませんか。笠置シヅ子、神野さんに絶対合います。他にいません」と仰いました。 しかしあまりに突然、しかも雲をつかむようなお誘いだったので、大変驚きはしましたが合点がいかなかったことをはっきりと覚えています。 彼女は、笠置シヅ子という表現者が好きで、笠置さんと作曲家 服部良一先生が残された音楽・歌を通して、今のくたびれた世の中にエネルギーを送りたいという確固たる思いをお持ちでした。