阿部巨人 し烈な捕手争い 1年ぶりのスガコババッテリー再現で「ベテラン捕手」に高まる期待
巨人は3月20日に行われたロッテとのオープン戦(東京ドーム)に6-0と勝利。 体調不良のため外れていた坂本勇人が合流した試合で2回にオープン戦1号を放つと、前日の試合でもマルチ安打をマークしていたドラフト3位ルーキーの佐々木俊輔(日立製作所)が6回無死満塁の好機に代打で出場し、中前へ2点適時打をマーク。オープン戦打率を.472まであげてきた。 【動画】見たか!ベテラン小林誠司がロッテ戦の9回に同点適時打を放ったシーン 好材料が多かった試合で、投手陣で注目を集めたのは5回から2番手でマウンドに上がったベテラン・菅野智之の内容にもあった。メンデスに替わってマウンドに上がると先頭の井上晴哉を3球三振に抑え、田村龍弘、和田康士朗を続けて遊ゴロに打ち取った。6回は味方失策で出塁を許す場面もあったが、上田希由翔を中飛、元巨人で昨年のパ・リーグ本塁打王のグレゴリー・ポランコを低めのカットボールで左飛に封じた。7、8回も三者凡退に抑えて、4回を投げ無安打ピッチングでマウンドを降りた。 好投を後押ししたのは約1年ぶりとなる小林誠司とのバッテリーも大きかったようだ。前日には9回のチャンスに適時打をマークし、課題とされた打撃でもしっかりアピールしているベテラン捕手がこの日はマスクをかぶり、菅野を好リード。最速150キロの直球にカットボール、スライダーを交えてロッテ打線に的を絞らせなかった。かつてのスガコババッテリーの再現にはSNS上ではファンの間からも「この2人の姿がまたマウンドで見られるとは!」「嬉しすぎて泣けてくる!」など喜びの声が上がった。 開幕を目前に控え、捕手ポジションも争いが激化している。先に日本ハムからトレードで移籍してきた郡裕也がユーティリティ捕手として、内外野も守れる存在であることから阿部慎之助監督は捕手2人体制で開幕に臨む考えを明かしている。主戦捕手は昨年16本塁打をマークするなど「打てる捕手」として知られる大城卓三が想定される中、2番手を岸田行倫、若手の山瀬慎之助、小林で争う。 小林の課題は何といっても打撃。一時は打率1割以下に落ち込む時期もあった。強肩、安定したリードで知られるとあって"打てさえすれば"と近年言われ続けてきたが、前日の9回の適時打の場面でも粘って、外野に運ぶなど、明るい兆しが見えてきている。 何より本業のリード面ではこの日の菅野も4回無安打ピッチングに導き、9回から投げた中川皓太の無安打ピッチングもアシスト。17日の日本ハムとのオープン戦でも先発の赤星優志を5回1失点、続く左腕、横川凱も1イニング無失点と好リードを見せていた。 菅野の復活が求められる今シーズン、また外国人、若手が多く起用されそうな今季の投手陣布陣の中では、リードに定評のある小林の力は求められるという見方もある。19日の試合で小林が適時打を放ったシーンでは阿部監督も思わず笑顔を見せていた。誰もが応援したくなる選手でもある。 V奪回を目指す大事な2024シーズン、巻き返しを期すベテラン捕手が力を発揮できるか。今後も注目の存在となりそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]