COP29開幕 途上国支援の資金など焦点 アゼルバイジャン
国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11日、アゼルバイジャンの首都バクーで開幕した。2025年以降の途上国支援の資金規模の目標やドナー(出し手)の範囲などに合意できるかが焦点となる。会期は22日まで。 途上国への資金支援を巡っては、09年のCOP15で、先進国が20年までに「年1000億ドル(現在のレートで約15兆2000億円)」を目標に拠出することで合意した。その後15年のCOP21で期限を延長し、25年より前に新たな目標を決めることになった。 国連環境計画(UNEP)が10月に公表した報告書によると、各国の現行政策のままでは世界の平均気温は今世紀中に産業革命前より最大3・1度上昇すると予測される。上昇を止めるために、新たな資金目標に合意し、途上国でも温室効果ガス排出削減を進めることが急務だ。 ただし、対策強化のために途上国が必要とする額は年1兆ドル以上とも試算される。現行目標を大きく上回る額で、中国や産油国といった経済力のある新興国をドナーに巻き込めるかも注目される。 開会式で、COP29議長を務めるアゼルバイジャンのババエフ環境・天然資源相は「(必要とされる資金の)額は大きいように聞こえるかもしれないが、何もしないことの代償と比べれば取るに足らない。団結して前進しよう」と呼びかけた。また、同条約のスティル事務局長は「気候変動対策の資金(拠出)が慈善事業だという考え方はやめよう。野心的な資金目標に合意できれば、最も裕福な国々も含め、全ての国にとっての利益になる。実質的な成果なしに、私たちはバクーを離れることができない」と述べた。 COP29での議論を通じ、国別排出削減目標の大幅引き上げにつながる機運醸成も期待される。各国は35年までの削減目標を25年2月までに国連に提出することが求められている。国連の気候変動に関する政府間パネルは、気温上昇を1・5度に抑えるという世界共通目標の実現には、世界全体で35年までに19年比で60%減らす必要があると指摘している。【バクー山口智】