環境相「水俣病の拡大防げず心からおわび」…公式確認から68年、全ての犠牲者に祈り 水俣市で慰霊式
「公害の原点」といわれる水俣病の公式確認から68年を迎えた1日、熊本県水俣市のエコパーク水俣で犠牲者慰霊式があった。鹿児島、熊本両県の患者や遺族、伊藤信太郎環境相らが参列。未認定患者を含む全ての犠牲者に祈りをささげ、被害の深刻さを胸に刻んだ。 水俣病と聞くだけでうんざり…少女は鹿児島で暮らし〝心の重し〟が外れた。公式確認から68年…「今も被害は続いている」 相思社職員の28歳は、足元の小さな公害に目を向ける
遺族と患者を代表し、母親が長年水俣病に苦しんだ川畑俊夫さん(73)=水俣市=は「同じ地域や家庭内でも申請した人、しなかった人さまざまだったが、みんなが水俣病に巻き込まれてきた。国や県、チッソには患者に真摯(しんし)に向き合い、全面解決にのぞんでほしい」と祈りの言葉を読み上げた。 伊藤環境相と木村敬知事は「水俣病の拡大を防げなかったことを心からおわびする」。原因企業チッソの木庭竜一社長は「地域の皆さまに多大な迷惑をかけた。保証責任を完遂する」と誓った。 チッソによると、鹿児島、熊本両県の認定患者は2284人(鹿児島493人)。3月末までに9割近くの2055人が亡くなった。認定申請し、審査を待つ人は両県で1400人に上り、全国で1700人以上が司法に解決を求めている。
南日本新聞 | 鹿児島
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