NASAのアルテミス計画で月面探査を目指す「YAOKI」がビルの天井裏を走る!
いま天井裏の点検事業に大きな需要がある
さてYAOKIを開発したダイモンは、月面探査を主力事業としつつ地上ロボット事業も手掛けている。このふたつの事業の関連性は薄いように感じてしまうが、今回発表されたのは、YAOKIの技術と特徴であるシンプル、小型軽量、高い走破性を活かした「天井裏点検ロボット」の展開だ。 実はいま、天井裏の点検事業に大きな需要があるのだという。東京をはじめとした都市部にある建造物の多くは、1950年代以降の高度経済成長期に建てられたため老朽化が進んでいる。その数は2030年に「都市寿命」を迎えるのではないかと言われるほど多く、もし老朽化したビルを修理・補修することになっても、まずは点検する必要があるのだ。 しかし、点検を人だけで行うには時間がかかる上に、天井裏は狭く、しかも体重に耐えられないこともある。そこで、小型軽量な月面探査車YAOKIに採用された技術を天井裏点検ロボットに転用。障害物乗り越えるため、2輪だったタイヤを4輪に構造変更。グリップ力を高めるため、耐熱樹脂製タイヤを弾性材に変更。カメラレンズを広角にして立体把握センサーを追加するなど、天井裏点検への適正を高める改良を施す予定なのだ。 2024年内には開発を終えて、ビルの管理会社やメンテナンス会社などに向けて販売していくという。将来的には公共施設やマンション、インフラ設備の企業などへの拡販、そのさらに先には被災地救済ロボットや廃炉点検ロボットなど事業拡大を図る計画だという。