【ふくしま創生臨時支局・鏡石町】元気な鏡石キックオフ サッカーで健康増進、にぎわい創出 教室開催や大会誘致
福島県鏡石町は、子どもからお年寄りまで誰もがサッカーに親しめる環境を整える。サッカーを通して体力向上や健康増進、にぎわい創出や交流人口拡大を進め、生き生きと楽しく暮らせる町を目指す。教室や交流会の開催、トップアスリートの誘致など、事業の推進役として10月、強豪・尚志高サッカー部出身の坂下健将さん(24)が専任の地域おこし協力隊に就いた。町は1995(平成7)年のふくしま国体でサッカー会場となり盛り上がった。それから来年で30年。サッカー熱を再び高め、地域を元気にする。 サッカーによるまちづくりに向け、地域おこし協力隊として着任したばかりの坂下健将さんは児童らを対象とした教室の指導者として活動を始めた。 一般の町民向けには交流会などを通して出た意見を基に企画を立案していく方針。日本代表戦の観戦会を開いて町民みんなでサッカーを応援したり、健康増進や介護予防の観点から注目度が高まっている「歩くサッカー」を普及したりすることを構想している。歩くサッカーは文字通り走らずにプレーするので体への負荷が小さくお年寄りでも楽しめる。
ふくしま国体のサッカー会場となった鳥見山陸上競技場は天然芝のフィールドを備えている。多目的広場も隣接しており、交通の便が良く充実した設備が自慢だ。広くPRし各種大会の誘致につなげる。県内外からサッカー愛好家が集えば町はにぎわう。競技場は日本陸連の公認(第4種ライト)を10月に受けており、サッカーを起爆剤にスポーツ全般を振興する。 国体開催により町民とサッカーの関わりは深まった。2002年には鏡石中サッカー部が全国中学校サッカー大会に出場し、町民は熱狂した。こうした地域の素地に光を当て、これからのまちづくりの核にする。町は「町とサッカーの関係を再び濃密にし、サッカーを通じた地域活性化につなげたい」としている。 ■みんな楽しんで 地域おこし協力隊・坂下健将さん(尚志高OB) 事業のけん引役を任された坂下健将さんは意欲に燃えている。 千葉県東金市出身。5歳の時、2歳上の兄の影響でサッカーを始めた。地元の中学校を卒業し郡山市の尚志高に進学。3年生だった2018―19年の第97回全国高校サッカー選手権大会はMFとして全試合でピッチに立ち、2回戦の東福岡戦ではゴールを決めた。チームは準決勝に進み、PK戦で青森山田に敗れたものの大会優秀選手に選ばれた。大学卒業後、就職のため再び福島県へ。社会人リーグでサッカーを続けている。
「サッカーで人のために役立ちたい」と協力隊に応募した。高校時代に共に汗を流し現在はJ1東京ヴェルディで活躍する染野唯月選手をはじめ、幅広い人脈を生かしてサッカー教室や親善試合などを開きたいと考えている。サッカー文化を町に根付かせ町民一人一人がそれぞれの立場でサッカーを楽しんでほしいと願う。母校・尚志高の全国制覇に貢献できる選手を町から輩出することも夢の一つだ。 「鏡石町が“サッカー王国”となるよう力を注ぐ。県全体のサッカーの底上げにもつながればうれしい」と話す。