細川成也が中日移籍1年目で結果を残せた理由「見えていなかったものが見えてくる感じ」
── 昨年の得点圏打率2割8分。78打点でしたが、自分ではもっとやれたと。 細川 そうですね。やっぱり後半戦に落ちてしまったこともありましたし、試合に出続けていくうえで「疲れた」なんて言っていられないですから、コンディションを整えることも含め、もう一段、二段上のレベルにならなければいけないでしょうね。今年はまた去年とは違う意味で「やらなければいけない」という気持ちですが、そこは考えすぎず、力みすぎず、自分にマイナスにならないように挑めたらと思っています。 【中田翔と一緒にやれてうれしい】 ── 移籍してきた中田翔選手が、打撃練習を見て「細川と鵜飼(航丞)は12球団でも屈指の飛距離を持っている」とおっしゃっていました。やっぱりホームランへの期待も高まります。 細川 そんなことないですよ(笑)。中田さんに言われたら、それは全然違うんですけど、ただ飛距離というものが僕の一番の魅力ではあることはわかっています。そこがなくなったら僕のいいところもなくなってしまうので、そこは消さずに、あとはもっと確率を上げていくことですね。 ── 長距離砲の先達である中田さんの加入は、4番を争うライバルになるかもしれませんね。 細川 いやいや、ライバルだなんて。僕は中田さんと一緒にやれてうれしいんです。ドラゴンズに来られてからここまで本当にいろいろと話をしてもらいました。バッティングの技術面もそうですけど、考え方や心の持ち方とか、ここまで一軍の最前線で活躍されてきて、実績もケタ違いに持っている人は、こういう考え方をしているんだとか、話すたびに発見があります。これから1年間、一緒にプレーできることが楽しみです。 ── 長距離砲としても、真の中心選手としても昨年以上に、大きな期待がかけられています。広いバンテリンドームでも細川選手なら関係ないですからね。 細川 やっぱり違う球場なら入っていたなぁ......というのは何本かありますよ(笑)。僕自身も子どもの頃からすごいホームランを打った選手のことは覚えていますし、全国のファンに名前を覚えてもらえるような、インパクトを与えられるような選手になりたいとは思ってきました。でも、それ以上にやっぱりチャンスに打ってチームを勝たせるバッターがカッコいいですよ。「アイツならやってくれる」「細川でダメならしょうがない」とチームに信頼される勝負強さを身につけたい。現状ではまだまだですけどね。そんな自分に少しでも近づけるように、引き続き頑張っていきます。 細川成也(ほそかわ・せいや)/1998年8月4日、茨城県生まれ。明秀日立高から2016年ドラフト5位でDeNAに入団。アレックス・ラミレス監督に長打力を買われ、1年目のシーズン終盤に一軍で起用されるとプロ初本塁打を記録。右の長距離砲として期待されるも2年目以降は力を発揮できず、22年12月の現役ドラフトで中日に移籍。23年はレギュラーをつかみ、チームトップとなる24本塁打、78打点をマークした。
村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu