八雲ふみねが選ぶ2023映画ニュース4選
安田弘之による人気同名コミックを、有村架純主演で実写映画化。海辺の弁当屋さんで働く元風俗嬢・ちひろと、彼女に惹かれて集まってくる人々との交流を描いたヒューマンドラマです。 熱狂的な支持を集める漫画が実写映画化されるということで、原作ファンの間では話題騒然。しかも、主人公のちひろ役は、いまや国民的女優となった有村架純。“可愛い”の代名詞のような彼女が、元風俗嬢役!? ということでも、ちょっとしたニュースとなりました。 常識にとらわれず、他者を包み込むような懐の深さを持っている一方で、自身も孤独を抱えている。一見すると複雑な人間像を、有村架純は繊細な演技で体現。新境地を開拓しています。 不器用ながらも人間味あふれる“ちひろさん”に、あなたもきっと魅了されるはず。
『ほかげ』:日本映画、俳優たちが海外で躍進
日本映画が、海外をフィールドに大躍進を遂げた2023年。 「第76回カンヌ国際映画祭」では、『怪物』の坂元裕二氏が脚本賞を受賞。またヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』では、主演の役所広司が最優秀男優賞に輝きました。 そして、2024年1月23日(現地時間)に発表される「第96回米アカデミー賞」のノミネート候補作品、通称“ショートリスト”には、先述の『PERFECT DAYS』をはじめ、『ゴジラ-1.0』『君たちはどう生きるか』といった複数の日本映画が候補入り。今後の動向が気になるところです。 塚本晋也監督の最新作『ほかげ』は、トロント、モントリオール、ウィーン、台北など世界各国の映画祭で正式上映され、「第80回ヴェネチア国際映画祭』では、NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞。2023年の映画シーンを語るにおいて、外せない日本映画のひとつです。
本作は、『野火』『斬、』に続く、塚本晋也監督が手がける戦争三部作。終戦直後の日本を舞台に、絶望と闇を抱えながら生きる人々の姿を映し出した衝撃作です。 戦争や紛争のニュースが絶えることがなかった2023年。いまこそ、1人でも多くの人に観て欲しい。“平和とは何か!?”と、現代人に問いかける祈りの物語です。 さて、2023年も残りわずかとなりました。今年もニッポン放送 NEWS ONLINE「Tokyo cinema cloud X」をご愛読いただき、誠にありがとうございました。 私は年間500本以上の映画を観ていますが、仕事をすっかり忘れて、感動に浸ったり元気をもらったりすることが度々あります。そんな“映画のチカラ”を、「Tokyo cinema cloud X」を通じて読者の皆さまにお届けできるよう、2024年も励んでまいります。 どうぞ良い年越しをお過ごしください。来年もどうぞよろしくお願いいたします。