【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第15ステージ】天下無敵。最難関ステージを射止め、ポガチャルのピンクはさらに色濃く。「今の自分に満足している。タイム差も、チームも、すべてにおいて」
細くうねる土の道も、フィニッシュ直前に立ちはだかる壁も、もはや障害にはならなかった。獲得標高差5400mを脚に溜め込んでもなお、ポガチャルの顔は生気で輝いていた。標高2387mの山頂では、空に向かって、大きく両手を投げ出した。これにて区間4勝目。昨季まで新人賞候補だった25歳の、グランツール全体の区間勝利は早くも18に達した。6.5ステージに1つは勝っている計算になる。さすがにマーク・カヴェンディッシュの現役最多54勝には遠く及ばないが、あと1つ勝てば、プリモシュ・ログリッチの現役2位記録に並ぶ。
キンタナは「良き後味」を抱きつつ29秒遅れの2位で終えた。また今区間にした山岳65ポイントだけで、山岳賞争いは一気に3位へと浮上した。区間3位シュタインハウザーは初めてのグランツールで初めてのひと桁台を射止めた。あれだけ大量の逃げ集団から、好成績を残せたのは、この2人だけだった。
ポガチャルの「元」総合ライバルたちの中では、ロマン・バルデだけが最終盤に小さな加速を試み、2分47秒遅れで先着した。総合15秒差でにらみ合うマルティネスとトーマスは、揃って2分50秒遅れで山頂にたどり着き、オコーナーはその8秒後に1日を終えた。最後までエースを支え続けた総合6位テイメン・アレンスマンは、3分05秒差でフィニッシュ。前日のタイムトライアルでの疲労がたたり、人生最悪のバッドデーを経験したというアントニオ・ティベーリは、3分55秒遅れた。つまりマリア・ビアンカと総合トップ5の両方を脅かす危険人物から、51秒を失ったことになる。かろうじて19秒のリードを保ち、勝負の3週目へと臨む。
ジロ・デ・イタリアは決して終わるまでわからない。過去10年のうち、7大会で、3週目にマリア・ローザが交代してきた。しかし2024年は、数少ない例外かもしれない。ポガチャルは総合2位とのタイム差を6分41秒へと拡大した。第15ステージの段階で、総合首位がこれほどまでに大きなリードを有していたのは、なんと1954年ジロ以来70年ぶりなのだ。
「今の自分に満足している。タイム差も、チームも、すべてにおいて。もしかしたら、この先は、もう少しリラックスして走れるかもしれない。とにかく1日、1日、状況を見ながら組み立てていく。とにかくローマまでジャージを持ち帰ることに集中していく」(ポガチャル) 文:宮本あさか
宮本 あさか
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