日本土地建物「京橋再開発プロジェクト」の免震装置を公開
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日本土地建物が東京都中央区京橋2で進めているオフィス・商業複合ビル「京橋再開発プロジェクト(仮)」(高さ170メートル)の免震装置が25日、報道陣に公開された。高さ100メートルを超える超高層建物では、中間階免震構造は珍しいといい、同ビルは2016年秋の竣工後、地域防災拠点として活用される。
32階建てのビルのうち、免震層は6階と7階の間で工事が進んでいる。免震は耐震と違い、建物そのものが地震の揺れに耐えるのではなく、揺れを吸収して小さくする方法。耐震だと、本棚などが倒れるなどの被害が予想されるが、免震だと揺れが小さいため、被害を小さくできるというメリットがある。 免震層は、揺れを水平方向に逃がす「積層ゴムアイソレータ」(30基)、揺れが建物に伝わりにくいようにする「弾性すべり支承」(6基)、アイソレータの揺れを抑える「オイルダンパー」(48基、制動力1,000kN)、同ビルの免震機能のカギとなる「弾性ロック機構」(4基、ロック力3,168kN)の4つの機能からなる。
同社によると、建物の基礎部分に免震装置を設置するやり方とは違い、建物の中間部分に免震装置を設置する方法だと、超高層建物では、吹き付ける風の力(荷重)は中地震に相当し、建物が揺れてしまうために免震構造にするのが難しかった。この課題を解決したのが「弾性ロック機構」で、風と中地震までの揺れまではオイルダンパーで揺れを抑えながら免震層を固定(制振)する。
中地震を超える大きな揺れがあった場合は、「弾性ロック機構」のロックがはずれ、アイソレータなどが免震構造として機能する仕組み。この機構は、運用と管理が容易で、稼働に電気を必要としないため停電時でも機能し、廉価という特徴を持つという。
東日本大震災では、首都圏で515万人の帰宅困難者が発生したことから、同社では「事業者として帰宅困難者を受け入れる重要性が増している」と認識。竣工後に4000平方メートルの一時待機スペースを設けて最大3日間、数千人を受け入れるため、水や食糧、防寒グッズも配布できる体制にするという。