ZIPAIR西田社長、既存路線の便数見直しも アジア北米乗継が旺盛
ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)の西田真吾社長は3月13日、2024年度に既存路線の運航便数などを見直す考えを明らかにした。成田空港を経由するアジア-北米間の乗り継ぎ需要が旺盛なことから、北米路線の増便などを検討していく。 【写真】ZIPAIRのフルフラットシート 「慎重に週3便(往復)とか週4便で始めて増やしていくパターンだが、今回はこれまでにないくらい早い意思決定で週5便化を決めた。期待以上の予約の入り方だ」(西田社長)と、週3往復で13日に開設した成田-バンクーバー線の予約状況を説明した。 バンクーバー線は、2023年12月27日に開設を発表。就航前の今年2月22日に週5往復化を発表し、7月23日から増便する。アジア-北米間の乗り継ぎやVFR(親族友人訪問)、留学、ワーキングホリデー、観光などの需要を見込んでいるが、「アジアと日本、北米を結ぶ需要は太いし、まだ成長するんだろうなと感じている」と、3国間流動の需要が見込めるという。 5月中旬まで満席に近い予約が入っているといい、初便は満席の予約に対して幼児含め267人が搭乗し、約92%の搭乗率だった。成田では自社路線や他社のアジア路線、バンクーバーではカナダ国内や米国、メキシコなどへの他社便への乗り継ぎを想定している。 現在8機あるボーイング787-8型機(2クラス290席)は、当初計画通り2025年度に10機体制となる見込み。2024年度は増機予定がなく、2025年度に新造機を2機受領する見通し。 このため、2024年度は新路線開設よりも既存路線の見直しを優先する。西田社長はバンクーバー線を週7往復(1日1往復)のデイリー運航に増便する見通しについて、「路線のミックスを見直さないと、できないところもあるかもしれない。2024年度はトライしていきたい」と語った。 ZIPAIRは日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する中長距離国際線LCCで、成田発着の国際線のみ9路線を運航。このうち米国本土路線が3路線で、3月31日開始の夏ダイヤではサンフランシスコ、ロサンゼルスの2路線を週7往復(1日1往復)ずつ、サンノゼ線を週5往復運航する。また、ホノルル線を週4往復、バンコク、ソウル(仁川)、シンガポール、マニラのアジア4路線を週7往復ずつ運航を計画している。 2023年6月2日に就航したサンフランシスコ線の場合、午後9時35分発と成田でもっとも遅い時間に米国本土へ向かう。西田社長によると、アジア各地からZIPAIRや他社便で成田へ日中到着し、夕方チェックインしてサンフランシスコへ向かう乗り継ぎ客が多いという。 ZIPAIRの客層は、コロナが明けてからは7割がインバウンド(訪日客)、残り3割が日本人が海外へ向かう「アウトバウンド」だったが、春休みの予約状況はアウトバウンドが4割くらいと、日本人の出国需要に回復傾向が見られ始めているといい、こうした要素も織り込んで2024年度の路線構成などを再考していく。
Tadayuki YOSHIKAWA