「30センチ必要なのに厚さたった3センチ」南海トラフ地震でう回路のトンネル工事やり直し なぜ起きた?現場所長の誤った認識と目視のみの確認…2年かけたのにやり直し
『覆工コンクリートは厚さ足りなくても問題ない』
さらに「手直しをすれば工期に間に合わなくなる。赤字にしたくない。1次覆工で強度は保たれているのでトンネルの安全性に問題はないと判断した」と話し、工事を強行したということです。 また、「何よりも自分はトンネル工事の専門家であり、本社に相談してもどうなるものではない」とも話していました、 さらにヒアリングの中で所長は『覆工コンクリートは、化粧コンクリートのようなもので厚さが足りなくても問題ない』などという発言もあったということです。 トンネル工事で掘削を行う際、通常、岩盤が崩れるか否かを計測し慎重に工事を進めるということですが、レーダーなど客観的な計測を行わず目視のみで『この山なら崩れないだろう』という判断で工事が進められていたということです。
「お前が何とかしろ」「現場で解決せねば」アンケートで見えた従業員の実態
一方で従業員約200人に対して行われたヒアリングの中では「相談すればお前が何とかしろと言われ叱責される」「現場のことは現場で解決しなければならない」との回答が多かったということです。 また、従業員がこうした施工不良の中で工事が進められていた点についてなぜ内部通報をしなかったのかを問われると、「内部通報制度があることが知らなかった」「現場所長の判断が絶対」「所長を超えて通報はできない」との回答が大半だったということです。 一方で、今回は社外取締役の弁護士らによる社内調査となっていますが、会見で今後第三者による調査の必要性について問われると「必要なら検討する」との回答にとどまりました。
専門家「施工時の測量がずさん」工事はやり直しへ
県は今回の問題が発覚後、専門家による「技術検討委員会」を設置しました。今年9月から議論が行われていましたが、11月10日に行われた第2回の会議では県の調査で側壁のコンクリート壁の厚さが30センチ以上必要にもかかわらず、6センチしかない部分があったことが確認されたほか、トンネル内で6か所のコンクリートをはがし調べたところ、H型鋼が設計位置からずれていたこともわかったということです。 コンクリートを上塗りした場合は、法律で定められたトンネル断面の車が通る空間が維持されない可能性があるということです。 検討委員会では「施工時の測量がずさんで、ミスに気付いているのに修正せず、もとに戻していない」「ほぼすべてのコンクリート壁をはがして、安全性の確認が必要」となどの指摘が上がったということです。 そして、12月20日に行われた第三回会議では、鋼材約700本の大半で本来設置されるべき場所に設置されていないなどから、工事自体をほぼ全面的にやり直す必要があると判断が出たということです。