ポストコロナの中国 ある家族の苦闘(2) 収監中の夫を残し中国脱出 「今生の別れ」覚悟…増える海外亡命
■相次ぐ亡命希望 10年前の7倍に
政権に批判的とみなされた人々への抑圧が増す中国では、外国に逃れ亡命を求める人々が相次いでいる。国連によると、22年に中国から亡命を希望した人は、11万人以上。10年前の7倍以上にのぼった。 ひとり娘を新型コロナ感染で亡くした楊敏さんも23年、ヨーロッパに脱出した。娘は20年、中国・武漢で始まっていた新型コロナの感染拡大を知らずに、病院で感染し亡くなった。 楊敏さんは「中国当局が新型コロナの状況を隠ぺいしたため、娘は犠牲になった」と抗議を続け、当局から厳しい監視を受けていた。そして23年6月、拘束の危険が迫っていると感じ、南部の雲南省から陸路でミャンマーに脱出し、ヨーロッパへ渡った。毎年、娘の命日にはお墓の前に行って語りかけてきたが、今は会いに行くことはできない。 「娘には申し訳ないと思います」 「これからも真相究明を求めていくのが、私の生きる支えです」 不条理に引き裂かれた家族たちは2024年、それぞれの場所で前に向けて歩み出そうとしている。