【解説】意外な場所も?訪日外国人の楽しみ方に変化 / GW 今から間に合う楽しみ方も紹介【バンキシャ!】
日テレNEWS
コロナ禍を越え、インバウンド需要が復活してきています。野村総合研究所は、外国人観光客が日本で使うお金の額が、今年、早くもコロナ禍前の2019年を上回るとの可能性も予測しています。外国人観光客の最近の特徴について、旅行ガイドブック「地球の歩き方」編集長の宮田崇さんに聞きます。(真相報道バンキシャ!)
◇ ──外国人観光客がかなり戻ってきていて、インバウンドに期待が高まりますが、外国人観光客は日本に何を求めて来ているのでしょうか? 宮田さん 「王道の観光地というより、5年くらい前から外国人観光客は、具体的な目的を持った人が来日していますね」 「地球の歩き方」が運営する外国人向け旅行サイト(英語版)のアクセスランキングを見ると、3月以降では、5位が「新倉山浅間公園」、4位は「うえの桜まつり」と、季節がら桜のお花見スポットがランクイン。2位は、いま映画で話題の「SLAM DUNK(スラムダンク)」のテレビアニメに登場する「鎌倉高校前駅」近くの踏切となっています。ここまでは順当な感じですが、1位と3位については、日本人の視点からすると、「へえ、そうなんだ」と感じる方がいるかもしれません。3位は池袋の「サンリオカフェ」、そして1位は、横浜の「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA(ガンダムファクトリー)」でした。 ──宮田さん、やはり、日本のアニメやキャラクターが人気だということですか? 宮田さん 「そうですね。アニメのコンテンツが非常に強いので、実際、スラムダンクの映画が先日公開されましたけれども、あの影響でスラムダンクのゆかりのスポットが大人気になっています」 ──では、このランキングの結果には違和感はない? 宮田さん 「桜を押しのけて上位に来る。違和感はないですね」 ──いま、外国の方はどういう所に旅行に来ているんですか? 宮田さん 「アニメの聖地は本当にそうなんですが、ほかにも、ベースボール発祥の地のアメリカ人は、日本のプロ野球を見るのがすごく楽しみ」 ──え!? どういうことなんですか? 宮田さん 「ベースボールとまったく違う文化がいま日本で生まれているので。野球の応援歌だったりとか、鳴り物があったりするので。それがすごく楽しいっていうことで、アメリカの方が行かれている」 ──ほかには? 宮田さん 「ほかには、身体を動かしたり、歩いたりすることが欧米の方は好きなので、熊野古道や中山道。とくに長野県にある妻籠宿(つまごじゅく)であるとか、そこから木曽路でアクセスできる岐阜。こうした宿だったり、峠を越えたりですとか。いま日本人より数が多いと言われています」 ──トレッキングみたいな感覚ですか? 宮田さん 「そうですね。あとは宿の規模が小さいので、そこの宿のオーナーと話ができたりとか、ふれあいが約束されているので、そういうものを求めて行ったりしているみたいですね」 ──最近では、SNSで見て旅先を決めるということもあるようですが、旅行業界として宮田さんは、SNSの存在は意識されていますか? 宮田さん 「10年前は危機だと思っていましたが、いまはどうやって上手に付き合っていくかと思っています。情報の鮮度では絶対に勝てないので、我々も積極的に利用しています」 ──危機というお話がでましたが、コロナ禍ではガイドブックの出版社としても大変ではありませんでしたか? 宮田さん 「2020年の4月、5月の緊急事態宣言が出たときには、売上が95%くらい下がりました。もうどうしようか…と。みんなで飯食って行けるように、どうにか乗り切ろうという話をしました」 ──実際、どう乗り越えたんですか? 宮田さん 「あの手この手でやってきたんですが、東京五輪に勝手に参加しようということで、『地球の歩き方 東京版』というのを日本人向けに作ったんです。『地球の歩き方』初の国内版だったんですが、この東京版がおかげさまで10万部くらいですね。これは、ガイドブック業界では非常に大きな数字なんですけれども、じゃあ『もしかしたらこういうニーズもあるかもね』ということで、次に東京の多摩地域版を出して、多摩地域の後は京都、沖縄、北海道。なんなら日本もだしちゃおうということで、『地球の歩き方』史上最厚の日本編を出したりですとか」 ──日本人の方はどういう意図といいますか、魅力を感じて買っているのでしょうか? 宮田さん 「地元再発見というのが一番大きいと思っていまして、特にコロナになって、家にいる時間だったり近所にいる時間がすごく増えたはずなんです。その時に改めて、平日のランチに妻とどこかに行こうって時に『あ、地元のことって知ってるようで知らないよね』って方がすごくたくさんいらっしゃったはずで、そういう方々が買ってくれたんだなと思っています。実際に、東京版に関しても、最近出た埼玉版でもそうなんですが、最初は、地元の人が9割ぐらいです」 ──国内シリーズはこれからもいろいろ出していくんですか? 宮田さん 「出して行こうと思っているんですけど、一冊つくるのに1年以上かかるので。メインで担当するのが1人なので」 ──どんどん出せるものでもない? 宮田さん 「目を見て『担当できる?』って言って、目を見返してくれないと…」 ──最近、これは出せそうというものはありますか? 宮田さん 「そういう中で、私が目をそらしたんですけど、『目を見てくれ』って言われたのが、世田谷区版です」 ──え、世田谷区の『地球の歩き方』が出るんですか? 宮田さん 「世田谷区に住んでる子が、どうしても出したいと。その熱量に負けて、じゃあ出そうか…という話をして」 そして、まもなく迎えるのがゴールデンウイークです。5月1日、2日に休みをとって「9連休」という方もいるかと思います。 ──日本人も旅行したい時期ですが、宮田さん、今年のトレンドのようなものってあるんでしょうか? 宮田さん 「小さなトレンドってたくさんできましたし、人との距離のとりかたってできたと思うんですけど、具体的には、コロナの前に戻った…だけ。なにか新しいことが生まれたっていうよりは、コロナ前に戻って、みんな待ちに待った連休を楽しもうと思っていると思います」 ──まだ予定を立てていなくて、近場で楽しみたいなという人もいると思いますが、ポイントはありますか? 宮田さん 「旅行に行きたいと思う人がいる半面、半分くらいの方はまだ行きたくないと思っているので、地元再発見ということで、隣町でちょっと降りてみるですとか」 ──隣町!? 宮田さん 「はい。意外と有名な方のお墓があったりするんですよ。そういうちょっとしたことでも、知らない所を知ることが旅につながるんじゃないかなと思います」 ──今年のゴールデンウイークは隣の駅に行ってみよう! っていうことも本当にありうる? 宮田さん 「あると思います。なんとか銀座でもいいと思いますし、商店街を歩くだけでも発見はありますし」 ──『地球の歩き方』はポイントごとの歴史なんかも書いてあったりしますよね。 宮田さん 「地球の歩き方は、旅の入り口、そのエリアの入り口に関するものはすべて載っているので、歴史だったり文化だったりっていうものも、掘り下げて紹介しております」 ──宮田さんのおっしゃる通りコミュニケーションだったり、体験というのを、私たち日本人も大事にするゴールデンウイークになるのかもしれませんね。 宮田さん 「そうですね。本当に久しぶりに人とふれ合えるゴールデンウイークになりますので、ぜひ良い旅をしてください」 (*4月23日放送『真相報道バンキシャ!』より)