債券トレーダーが大胆な賭け-来年3月までに3ポイントの米利下げ
(ブルームバーグ): 米金利オプション市場のトレーダーの間には、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局の金利の道筋を巡り、向こう9カ月に計3ポイント相当の大幅利下げに踏み切る可能性に賭ける動きが見られる。
担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動するオプション市場の過去3営業日のポジション動向からは、米金融当局が2025年1-3月(第1四半期)までに主要政策金利を2.25%にまで引き下げた場合に利益が得られる賭けの増加がうかがわれる。
米経済が突発的なリセッション(景気後退)に陥らない限り、こうした事態はありそうにないが、現行水準からは少なくとも300ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを意味する。この種の賭けは他の投資のヘッジに使われている可能性がある。
市場参加者が該当期間に織り込んでいる利下げ幅が計75bp程度である点を踏まえれば、オプション市場で思い切ったポジションが構築されつつあると言えそうだ。米金融当局者は最新の金利予測分布図(ドット・プロット)で年内利下げ幅見通し中央値をわずか25bpに減らし、25年末までの利下げ幅予想は計125bpとしている。
米金融当局が最終的に利下げに踏み切る正確なタイミングの手掛かりを得ようと、投資家は経済データや当局者発言を綿密に調べている。そして、急速かつ極端な利下げの動きといったテールリスクをヘッジするポジションを投資家の一部が構築し始めている。このような約定の多くは名前を伏せた取引であるため、どの社が賭けを行っているのか特定するのは困難だ。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、連邦公開市場委員会(FOMC)が7月30、31両日の次回会合で利下げに踏み切った場合に利益が出る8月限をトレーダーが盛んに購入している。一方、この会合日程に連動したスワップは1bpの利下げしか織り込んでいない。
JPモルガン・チェースのデータによれば、現物市場でもハト派的スタンスが浮上している。JPモルガンの最新の全顧客調査では、24日までの1週間にネットロングポジションは1ポイント増えて3月25日以来3カ月ぶりの高水準となったことが示された。