球春到来で知っておきたい「球場の個性」【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第107回
ヒューストン・アストロズの本拠地ミニッツ・メイド・パークは、かつてセンターの奥になんと小高い丘があり、グランド内のフェンス際にはポールも立っていました。これは選手が転んでしまう危険性もあり、2016年に撤去されています。 形状ではない特徴がある球場もあります。コロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドは標高が1600mもあるため、ボールが飛びやすくホームランが出やすい球場として知られています。 日本だと、甲子園やロッテのZOZOマリンスタジアムは風の影響を大きく受けます。甲子園は浜風がライトからレフトに吹くため、ライトへの打球が伸びづらいそうです。 海の近くにあるZOZOマリンスタジアムは、時に10m以上の強風が吹く中で試合をすることも。風を味方につけた投手のストレートは打者の手元で軽やかに伸び、逆に向かい風を受けた時のカーブはまるで止まっているように見えるという話もあります。 一見、画一に見える日本の球場も、実はいろんな個性があります。最近では、日本初の開閉式天然芝スタジアムである、北海道日本ハムの本拠地エスコンフィールドは、マツダスタジアム以来となる非対称の形状になっています。 こちらはライトのほうが2m長く作られており、屋根の勾配も左右非対称になっているそうです。また、サウナや温泉に入りながら試合を観戦できる施設もあり、"ボールパーク"として人気を高めたいという狙いが見えます。 大きなスタジアムはもちろんのこと、地方のスタジアムもいいですよね。ヤクルトが試合を行なう愛媛県・松山市の坊っちゃんスタジアムは、ファンクラブ会員限定ですが、試合後にグランドに入ることができます。憧れの選手が実際に試合をしたマウンドやバッターボックスに立つ経験は、なかなかできるものではありません。 2軍のスタジアムにも個性があります。DeNAの横須賀スタジアムは1軍に引けを取らない立派なスタジアムで、トレバー・バウアー投手(現メキシコシティ・レッドデビルズ)が入団する決め手になったとか。また、ヤクルトの2軍球場は埼玉県の戸田市から茨城県の守谷市に移転する計画がありますが、たくさんの人が足を運びたくなるような、魅力的な球場にしてもらいたいです。 敵を知るにはまず球場から。みなさんも各球場の特徴を知って観戦してみてはいかがでしょうか。意外な攻略法に気づくかも? それではまた来週。 ★山本萩子(やまもと・しゅうこ)1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年から5年間、『ワースポ×MLB』(NHK BS)のキャスターを務めた。愛猫の名前はバレンティン 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作