始まりは“連敗”から。昌平の「ほんと頼もしい」「めっちゃいい」リーダーMF大谷湊斗が兄超えも果たし、日本一のキャプテンに
[8.3 総体決勝 神村学園高 2-3 昌平高 Jヴィレッジスタジアム] 「最高です。自分も2年前、インターハイに出させて頂いて(3位と)悔しい思いをしてるんで、日本一っていうのは簡単じゃないんで、 凄い嬉しいです」。昌平高(埼玉)MF大谷湊斗(3年=アメージングアカデミー出身)が兄超えを果たし、日本一のキャプテンになった。 【写真】「レジェンドカップル」「びっくり!」元なでしこ鮫島彩さんが驚きの2ショット披露 今大会準決勝では鮮烈な2ゴールを決め、初の決勝進出に貢献。決勝でも自陣からの距離の長いスルーパスでMF長璃喜(2年)の同点ゴールを演出し、左サイドでのドリブルでFW鄭志錫(3年)の決勝点にも絡んだ。そして、2度のビハインドを強い気持ちでひっくり返して初優勝。主将はチーム一丸となって戦えたことも喜んだ。 「日々の練習はどこのチームよりも激しくやってきましたし、自分たちも雰囲気が凄い良くて、チーム一丸となって戦えたっていうのは凄い良かったです」 入学前から話題になっていたテクニシャンは、1年時からその上手さ、センスで昌平のトップチームに加わって全国舞台を経験。小柄なMFは昨年、ボランチの位置でドリブルを駆使したゲームメークや守備能力、空中戦の強さも示し、注目度をさらに高めた。 今年は強豪校の主将に就任。シーズン開幕前のU-17日本高校選抜の活動でもキャプテンマークを巻いていた。だが、U-17日本高校選抜として出場したJヴィレッジカップから昌平のプレミアリーグEAST開幕戦(対横浜FCユース、0-1)まで、主将として勝てない時期を経験している。 プレミアリーグEAST第2節の前橋育英高(群馬)戦を4-2で制すと、「(自分が高校選抜、昌平でキャプテンを)5試合やって、全部負けていたんですよ」とホッとした表情を浮かべていた。そして、「先を見るよりも目の前のことに集中して戦っていきたいです。いい雰囲気でやっていこうかなと思っています」と宣言していた大谷は、雰囲気づくりに注力。加えて、「やる時はやる」姿勢でチームを引っ張ってきた。 U-17日本高校選抜でもともに戦ったGK佐々木智太郎(3年)は大谷について、「ほんとにこう支えられてるというか、頼もしいというか。性格的にも素晴らしいキャプテンだと思いますし、後ろから見ててほんと頼もしいなっていう風には思っています。みんなとふざけたりすることはありますけど、ピッチに入ったらやっぱりこう目の色が変わって、みんなを引っ張るというか、そういうリーダーシップであったりっていうのは間違いなくあるので、そういうところは尊敬して見ています」と説明する。 また、1年時からともにトップチームで活動してきたDF上原悠都(3年)も、「練習始まる前とか結構ふざけたりしています。でも、やっぱやる時はやってって感じで切り替えがしっかりしていて、試合中もみんなが集中切れそうな時にしっかり声かけてくれて、覇気とかオーラがあって、結構みんなも締まってる部分がある。(キャプテンとして)めっちゃいいです」と推す。個性的なチームが大谷中心に一丸となり、技術力、気持ちの強さもライバルたちを上回って頂点に輝いた。 兄・MF大谷彩斗(現追手門学院大)は2022年度の選手権で国立決勝も経験。全国大会準優勝を記録している。大谷は「やっぱり一昨年、自分のお兄ちゃんが選手権で準優勝になって、自分もそれを超えるには優勝しかないって自分に言い聞かせてきたんで、 こういう風に日本一になれたことは凄い嬉しいですし、個人としても3得点と2アシストで結果もある程度出した大会だと思ってたんで、このような結果になって凄い嬉しいですね」。選手権でも兄超えへ。玉田圭司監督が「やっぱり足りないものはたくさんある」「僕たちもより頑張んなきゃいけない」と指摘していたように、大谷は夏の日本一からチームとともにさらなる成長を遂げる。