岸田政権に「定額減税12万円」のススメ…庶民に厳しく、政治家に甘い宰相ができる「罪滅ぼし」
とにかく腹立たしい
先週土曜日放送のABC「正義のミカタ」で、6月に予定されている定額減税の話があった。筆者は、「減税は去年12月にやるべき。そのミスの罪滅ぼしなら額は3倍必要」 とコメントした。 【写真】中国で「完成はしたけれど住む人がいない」マンションが急増 政治資金は「非課税かつ領収書なし」なのに、定額減税は給与明細に減税額を明記することが義務付けられた。民間ではインボイスでも1円もきっちり書くし、もちろん領収書なしでは経費扱いされない。かなりの事務負担になっているが、それに加えて給与明細に減税額を書けとなると、民間会社の給与担当者はかなり頭に来るだろう。 政治家と民間との格差は、なぜこんなに大きいのか。 政治資金が非課税とは、正確に言えば政治団体が政治活動に使用する資金が非課税ということだ。政治家個人では政治活動に関して受けた政治資金については、雑所得となり、他の所得と合算して課税対象になる。 ただし、この雑所得の計算では、政治活動のために支出した経費は控除する。もっとも、このあたりは、民間企業は領収証がないと経費にならないが、政治家では政治資金で領収書なしでも構わないとされ、それほど厳格に経費認定されていないようだ。 こうした政治と民間の格差にも腹立たしい。 さらに、「子ども子育て支援金」については、税金ではないという立て付けにより、しれっと徴収されるが、定額減税では給与明細に明記されるというのも、合点がいかない。
恨み節に尽くすのではなく…
いずれにしても、今回定額減税について減税額を給与明細に明記しなければならないが、その義務の根拠は何か。給与明細を従業員に交付しなければならないというのは所得税法231条に規定されているが、その中身は財務省令である所得税施行規則だ。 その財務省令はこの3月31日に出された。さすがに、財務省令は国会ではなく財務省だけの判断だけで発出できるので、林芳正官房長官も「お願いしている」体で低姿勢だ。 しかし、もし総選挙があれば、ということで仕組まれた話であるのはミエミエで、事務負担を課した上に国民をいらだたせている。 もっとも、本コラムではこうした恨み節に尽くすではなく、政策論を提示したい。 筆者は、今回の定額減税について、決定された昨年10月の段階で、「規模が小さく、遅い」と断じ、昨年12月にすべきだったとしていた。これは、2023年10月30日付け本コラム〈「増税メガネ」岸田首相も財務省に「毒されている」…頑なに消費税減税しないワケ〉に書いた。 その当時から、今通常国会の解散・総選挙があり得るので、昨年12月に実施すべきものを、政治的理由で今年6月に後回しするとも噂されていた。