「遠投はやらない」木村優人(ロッテ3位)を3年で22キロ球速アップさせた練習方法と高い意識
U-18で自信を深めたカットボール
甲子園出場は果たせなかったが、木村は高校日本代表「侍ジャパン」に選出された。U-18W杯を経験し、1次リーグのオランダ戦では2番手で登板、3回無安打無失点6奪三振と実力を発揮する。木村はこの大会で計3試合登板で6回、1失点と初優勝に貢献した。 「日の丸を背負って戦うこともあって、責任感がある選手が多かったです。勝ちに行く姿勢、プレーに対する気持ちなど、技術面よりメンタル面で学べたことが多かったです。最後の夏ではそういったことが足りないと分かったところだったので、U-18ではとても勉強になりました」 メンバーにはソフトバンクから1位指名を受けた今年の高校生NO.1左腕・前田 悠伍投手(大阪桐蔭)がいた。 「決勝など、プレッシャーがかかる場面でも自分の投球ができていました。自分の最後の夏の決勝とは違って『動じないメンタル』が感じられました。意識というのが一つ、二つ違うのでそういったところは真似していきたいと思いました」 木村はU-18で初めて海外選手と対戦した。 「日本と違って海外の選手は積極的に振ってくる。自分の投球を変えるのではなく、自分の投球がどれだけ通用するのかを大事にしました。この大会は変化球の割合が多かったですけど、上手くタイミングを外せました。世界でこのような投球ができたってことは自信に繋がりました」 決め球のカットボールの手応えもあった。 「この大会で一番多く投げた球種ですし、三振を一番とったのもカットボール。さらなる自信に繋がりました」
中間距離のキャッチボール、身体の連動性を意識して球速アップ
次に霞ヶ浦での木村の練習を見てみよう。特徴的なのは、キャッチボールで遠投を行わないことだ。 「フォームのバランスを意識して投げたいので、遠投はやらないです。中間距離(60メートル)でボールの回転を意識して投げるのが自分の中であっています。無駄に遠投をやってフォームのバランスが崩れるのが嫌なので、遠投はやりません。フォームとボールの回転を意識して体を大きく使ってキャッチボールは行っています」 投球フォームでも意識している箇所があるという。 「自分は股関節が硬く、歩幅が長くなると、どうしても体重が乗りにくくなる。半歩くらい狭めて股関節に乗るように投球しています。その感覚の方が体のキレも上がりますし、体の回転も速くなるので歩幅というのは意識して投げています」 木村は、霞ヶ浦高校・高橋監督から「股関節のトレーニングをいれてみたらどうだ」とアドバイスされ、さまざまなトレーニングをこなしてきた。 「股関節が大切だと気づき、上手く使えるためのトレーニングを行ってきました。まだまだ股関節は硬いですが、もっと使えるようにトレーニングをしていきたいと思います」 アップ時からも股関節を重点的にストレッチを行うなど、練習から股関節を常に意識していることがわかった。 3年の春に150キロを記録した木村。入学時からストレートの勢いを出すためにフォームの修正を行っていた。たどり着いたのはフォームに力感を無くすこと。現在では力感のないフォームから140キロ後半から150キロ近い球を投げられるようになった。 「どうやったら無駄なく力を伝えられるかを考えていたら『連動性』にたどり着きました。力が入りすぎていると力の行き先が分散してしまうため、リリースで120%の力をもってこれなくなってしまう。結果、力感のないフォームになり自分でも成長したなと感じています」