那須川龍心が今思うこと 天心VS武尊以降は〝ロス〟の状況キック界 「理想」の兄目指し
キックボクシングからボクシングに転向しても快進撃を続けている那須川天心(25)に次いで、弟の那須川龍心(18)が頭角を現してきた。キックボクシング団体「RISE」のビッグマッチ「RISE WORLD SERIES 2024 OSAKA」(15日、エディオンアリーナ大阪)では、事実上の挑戦者決定戦となる、塚本望夢(18)とのフライ級ワンマッチに臨む。トップへの視界が開けてきた龍心は今、何を思うのか。 龍心は現在、RISEフライ級1位。4位だった3月に1位の松本天志を破り、ランクを上げた。ABEMAの恋愛リアリティーショー「今日、好きになりました。」出演で、一般層からの注目度も上げている。 今回対戦する3位の塚本はアマだった中学時代、プロでの昨年2月23日と連敗しており、「どうしても勝ちたい、やり返したい相手」だという。 龍心は「レベルが上がってるところを見せたい。3月の試合よりもさらに精度を高く研ぎ澄ませてきている段階」だと自身の現状を説明。「圧倒的なレベルの差を見せて勝ちたい。理想はスパッとKOか、意識ある状態で嫌倒れみたいな、腹とか足とかで倒したい」と雪辱を期している。 実は松本戦の前から、所属するチームテッペン(テッペンジム)に加えて、天心も所属するボクシングの名門・帝拳ジムでも練習しており、「得るものがたくさんある。キックボクシングのトレーナーとボクシングのトレーナーで見方も違うし教え方も違うし、いい考えで来ていると思います。すごくしっくりくる部分がたくさんあるし、技の精度も上がってきているので、本当に全部のレベルが上がってきているなと思います」と進化を実感している。 具体的には考え方、マインド、歩き方、打ち方、ステップの仕方、重心、歩き方、呼吸の仕方などを挙げて「そういうところを全て変えてきているので、それが今回ハマるか、すごく楽しみです」と声を弾ませた。 キックボクサーとしては「自分の理想像、完成形が天心ですよね。そこを今、追いかけてる」という。真摯(しんし)な練習態度は特に「目指すべき」だと考えており、「実力をしっかり伸ばして、キックボクシングに天心がいない今、自分が目立てば、自分が先頭に立つ選手になる」と兄同様、業界のトップランナーを目指している。 キックボクシングは、天心と武尊による世紀の一戦が行われた「ザ・マッチ」(2022年6月19日、東京ドーム)以降、大きな話題を提供できていない“ロス”の状況。龍心は「そこ(キックボクシングの盛り上がり)を自分が作り出していかないとなと思います。自分で動かないとダメですよね」と、実力はもちろんのこと、魔裟斗、天心、武尊らキックをけん引したスーパースターたちのような発信力も必要だと考えている。 「自分が活躍してメディアに出て一般層、キックを知らない層を巻き込んでいけば、必然的にキック業界も潤っていくと思いますし、おのずとファイトマネーも上がって行くと思います」と、キック人気を盛り上げて魅力ある業界にしたいという思いは強い。 そのためにも、まずは今回の試合に勝ち、フライ級王座挑戦へと駒を進める必要がある。龍心は「リベンジ戦ということもあってモチベーションも高いし、勝ってベルトも取って、結果を残して自分の強さを証明していきたい」と、大阪決戦、そして大阪後に向けて闘志を燃やしている。(デイリースポーツ・藤沢浩之) ◆那須川龍心(なすかわ・りゅうじん)2006年5月16日生まれ、千葉県松戸市出身。兄は那須川天心で、天心との間に姉が2人。5歳から空手、小1からキックボクシングを始め、小4からキック一本。アマチュアで数々のタイトルを獲得。22年4月2日、対笠原直希戦でプロデビュー。23年大みそか、シン・ジョンミン戦でMMAデビュー。戦績はキック8勝(2KO)2敗。MMA1勝(1KO)。構えはオーソドックス。身長164センチ。血液型B。 ◇ ◇ 那須川龍心-塚本望夢以外のカードは次の通り。 【RISEスーパーフライ級タイトルマッチ】王者 大崎一貴(OISHI)-挑戦者 政所仁(魁塾) 【スーパーファイト/ライト級】中村寛(ライト級王者/BK)-タリソン・フェレイラ(ブラジル) 【スーパーファイト/ウエルター級】中野椋太(ウエルター級王者/誠至会)-宇佐美秀メイソン(カナダ) 【スーパーファイト/52キロ契約】数島大陸(フライ級王者/及川道場)-スドロー・ソージョートンプラシン(タイ) 【スーパーファイト/61・5キロ契約】大雅(スーパーフェザー級王者/トライハード)-ダニエル・プエルタス(スペイン) 【スーパーファイト/スーパーフライ級】田丸辰(トライハード)-ジョン・ヒョヌ(韓国) 【スーパーライト級】白鳥大珠(チームテッペン)-ペトル・モラリ(モルドバ) 【スーパーファイト/ライトヘビー級】南原健太(ライトヘビー級王者/極真会館)-ジェシー・アスティル(オーストラリア) 【オープンフィンガーグローブマッチ65キロ契約】山口裕人(道化倶楽部)-伊藤澄哉(戦) 【オープンフィンガーグローブマッチ63キロ契約】山口侑馬(道化倶楽部)-山畑雄摩(心将塾) 【ミドル級】憂也(魁塾)-シンパヤック・ハマジム(タイ) 【フェザー級】拳剛(誠剛館)-KING龍蔵(ロイヤルキングス) 【スーパーフライ級】JIN(楠誠会館)-野田蒼(月心会チーム侍)