老朽化で寿命迎える街の図書館を町民ら主導でリノベ!テラスで日光浴、おしゃべりOKの素敵空間に生まれ変わった「瑞穂町図書館」 東京・瑞穂町
そもそもこの本の並べ方も、町民とのワークショップで意見を聞いて取り入れたのだとか。 「子どもがメダカを飼いたいって言ったときに、メダカの生態の本も、メダカの飼い方の本も見たいじゃないですか。でもこの2つって全然違う場所に配置されているんです。あっちもこっちも行き来するって大変ですよね。じゃあ、どういう本棚の構成だったら探しやすいのだろう?と。そしてわかったのが、テーマを設けて本を並べるということだったのです。お子さんにも、感覚的にわかりやすいような本棚になったんですよ」と司書の西村さんは笑顔で語ります。 こうした配置によって生まれたうれしい変化がありました。関連する本をついでに2冊、3冊と借りて行く人が増えたことです。
町田さんはこう続けます。 「その人の求めている知的欲求がより深まるといいますか。本と本、人と人のつながり、こういうコンセプトがにじみ出た本棚でもありますね」
町民の手で、町民の知識で、この場所での体験を自分ごとにしていく
リニューアル後、来館者も増加。2018年度と比較すると約2倍に増えました。これは純粋に書籍を借りる人だけではなく、ここに憩いを求めて訪れている人も含まれているそうです。でもそれでいいと西村さんは言います。 「本のある空間に触れること、これが大切だと思うんです。小さいころから”なんとなく本のある空間”に身を置くことで、将来大きくなったときにここに戻ってきてくれる。そうあってほしいなと願って、くつろぐ、おしゃべりするだけでも足を延ばしてほしいと思っているのです。町の人の憩いの場であることが一番ですから」
今、図書館のあり方は大きく変わっています。西村さんは「この町を愛する人たちが自分の手でここをよくしていくこと。それが愛着を生み出しているのだと思います。まだまだやれることはあります。町民の力を借りながら、私たち職員はよりよい選書とは? もっと快適なスペースつくりとは? と、じっくり考えていきたいです」と話しました。 課題はもちろん残ります。この図書館は役場の職員が運営をしているため、誰かが異動をすると仕組みを維持しにくくなる恐れがあるのです。そこは、これから担い手を増やしていくよう工夫をしていく必要がありますが、町民にとっても役場の職員の皆様にとってもやりがいはありそうです。 取材の最後に西村さんは、こう話してくれました。 「今、全国各地で、図書館のあり方について考える必要が出てきています。ただ課題があっても、民間業者に委託する方法以外にも解決方法はあるのだと思います」 たしかに、自分たちの手で工夫をしていくことはできるのでしょう。時代は変わるので、図書館の役割も変わって当然。その工夫ができれば、もっと自分たちにとって心地よい施設になりそうですね。 ●取材協力 瑞穂町図書館
永見薫
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