【選手権】37年ぶり選手権出場の東北学院が涙で繋いだ3ゴールで奈良育英を退け初戦突破
12月29日、第103回全国高校サッカー選手権大会1回戦15試合が首都圏8会場で行われた。ニッパツ三ツ沢球技場で行われた第2試合では奈良育英(奈良)と対戦した37年ぶり選手権出場の東北学院(宮城)が3-1で勝利を収め、大晦日に行われる2回戦に駒を進めた。 【フォトギャラリー】東北学院 vs 奈良育英 「昨日のミーティングで3年生が一人ひとり3年間の悔しかった思いとか楽しかったことを話して、チーム全員で泣いてチームが一丸となれた。今日は一つひとつのプレーで全員がすごく気持ちのこもったプレーをしてくれた」試合後、東北学院・橋本俊一監督は込み上げてくるものを噛み締めるように42年ぶりの選手権での勝利を振り返った。 試合は東北学院が7分、いきなり試合を動かす。ゴール正面でMF7佐々木智貴が倒されてFK獲得。このチャンスをキッカーのMF10佐藤成真が冷静にゴール右上を狙い先制する。 これに対し、巻き返しを狙う奈良育英は34分にCKを獲得。ゴール前で混戦になるもののボールが足につかず得点とはならず。40分には、FW9藤川陽太の右からの折り返しを逆サイドから走り込んだMF11森嶋大琥が合わせるが、ここは東北学院のDF2壱岐翼に阻まれ追いつけない。しかし、アディショナルタイム、ゴール正面でボールを収めた森嶋がポケットに走り込んだ藤川にラストパス。これを落ち着いて藤川がゴールに蹴り込み、奈良育英が前半の内に試合を振り出しに戻す。 再び主導権を握りたい東北学院は、エンドが変わった後半は立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛けると、47分、右からのCKをキャプテンのDF3阿部幹大が「自分がターゲットとなるような攻撃だったので、練習通りに相手よりも早く触る、それを意識しながら突っ込んで行った」ドンピシャに頭で合わせ勝ち越しに成功する。 勢いに乗った東北学院は、その後も積極的に攻め続けると76分、相手のCKからピンチを抑えた直後、GK1橋本脩礼からの素早いロングフィードから相手の裏に抜け出した佐々木が、そのままゴールに運びダメ押し。3-1で奈良育英を下し2回戦に駒を進めた。 試合後、橋本監督は「やっぱり厳しかったです。分析通りには行かなかった。 蹴ってくるっていうのは予想してましたが、何回も徹底されてやり辛かった。やっぱり4年連続っていうのは伊達じゃない」と相手を讃えた。そして「この1つだけしか分析とか何もしてなかったので、明日1日で自分たちのサッカーができるように良い準備をしたい」と次への抱負を語った。 キャプテンの阿部は「この試合に全てかけるという気持ちと、昨日のミーティングで全員が3年間の気持ちを話してこの試合に全部かけてやれました。応援も含めて全員が勝ちをめざしてできたと思います」と勝利を喜んだ。 献身的な守備でピンチを防いだ壱岐は「キツかったですが、ミスを気にせず、とにかく走り続けました。自分がこうやって出られているのも監督のおかげですし、試合で勝てるのも先輩方のおかげなので、自分は後輩として先輩の足を引っ張らず、どんどん走ってクロスを上げて、チームを活気づけていきたいと思います」と次戦への意気込みを見せた。惜しくも敗れてしまった奈良育英・梶村卓監督は「こういう流れも十分あり得るなっていうのは思っていました。前半のところまでは想定内でしたが、後半でもう1段階行きたいところで、逆にコーナーから決められて選手も慌ててしまった」と後半早々の失点を悔やんだ。 (文・写真=西山和広)