『光る君へ』道雅役・福崎那由他が表現する“16歳の反発” “父”三浦翔平への素直な思いも
吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー動画「君かたり」が公開されている。第34回「目覚め」の放送後には、藤原道雅役の福崎那由他、そして藤原道長役の柄本佑が登場した。 【写真】父・伊周(三浦翔平)の何かを企みすぎている顔 第34回では、興福寺の僧らが都に押し寄せ、朝廷に要求を突きつけた。道長(柄本佑)は事の収拾に奔走するも、都では病や火事など不吉な出来事が続く。娘・彰子(見上愛)と一条天皇(塩野瑛久)との関係も深まっていない。そこで道長は世の安寧と彰子の懐妊を祈願しようと決め、嫡男・頼通(渡邊圭祐)らを伴って金峯山への参拝を決断する。一方、道長の甥・伊周(三浦翔平)は虎視眈々と復権を狙い続けていた。 福崎那由他演じる藤原道雅は、伊周の長男だ。伊周は「長徳の変」で失脚した後、帰京すると、中関白家が絶頂期を迎えていた頃のような野心と道長への復讐心を持って行動する。一方で、道雅はそんな父に反抗的な態度を示した。 道雅は一条天皇の計らいによって蔵人の務めを果たすことになる。伊周は感慨深げに「帝は我が家を引き立てようとしてくださっておる」と口にし、「道雅、心して務めよ」と息子に声をかけた。だが、道雅はぶっきらぼうに「別に嬉しくもないですけど。やることはちゃんとやりますよ」と返す。福崎の苛立ちを覚えるような佇まいから、親子の間で志に違いがあることがはっきりと分かる。一族の繁栄に重きを置く伊周は「この機を活かすのだ」と言い聞かせるが、道雅は乱暴に椀を置くと強い口調でこう言った。 「この機を活かすってなんですか。父上の復讐の道具にはなりませんから」 福崎はインタビューにて、父に反発する道雅について「きっと父親の背中とかはたぶん見てきたと思うんですよね。でも、その野心あふれる姿だったりとか自分の出世、出世とかそういうふうな背中を見てしまうと、どうしても自分はそうなりたくないみたいな、そういうのに縛られたくないみたいな、そういう気持ちがちょっとずつ芽生えていったんじゃないかなというふうに思うんです」と答えている。また、劇中で見せた反抗的な態度の要因には「年齢的な反発も結構大きいと思うんですよね」とコメント。「16歳とかそういうころの、親に反発しちゃったりとか、身近な人に反発しちゃったりする気持ちっていうのがたぶん大きいと思う」とも語った。 福崎はインタビュー内で、「たぶん(父親の)好きなところがないっていうことではないと思うんですよ」とも言っていたが、出世欲の強い父親と道雅の関係性については、「小さいころに父親とあまり関わる時間が少なかったんじゃないか」「どうしても、ないがしろじゃないけど、ほっておかれることが、一人の時間が多かったっていうふうに僕は解釈していて」と話す。そのため、福崎は道雅の心境について、父・伊周のようになりたくないという思いから「どうなりたいというよりも『お前とは違う』っていうことが言いたいのかなって」と述べた。 道雅を演じる福崎の苛立った口ぶりやまなざしからは、16歳という年齢ならではの反発心と、出世を追い求める父の背中を見続けてきたからこそ生じた反発心がしっかりと伝わってきた。短い場面ではあったが、伊周と道雅の間に不和が生じていることは視聴者に届いたはずだ。 伊周は、道長が金峯山への参拝で京を出立した隙に何かを企てているようだが、道雅の存在が伊周の今後に影響を及ぼす予感がする。
片山香帆