ピザラーメンが大人気? ニューヨークで「ご当地化」するニッポン
海外5都市で日本がどのように評価されているのかをリレー形式でお届けする本連載。今回はダイナミックに変化する街ニューヨークから、日本文化が地元の生活に馴染んでいる様子を現地在住の久保隅綾が伝える。 【画像】美味しそう…NYで味わう「ピザラーメン」!
きっかけは「アニメ食」
「うちの息子は”TOBIKKO”が大好きなんだ」 息子が友達の誕生日パーティに呼ばれ、クラスメートの父親と会話を交わした時、彼の言葉に耳を疑った。 「ご飯の上にかけて食べるのが大好きなんだ。ふりかけもね。でもTOBIKKOが魚の卵だと知ったら、卒倒するだろうけどね(笑)」 とびっこは母親が食べていたポキ丼にのっていたものを一口食べてから大ファンになったという。 私たちが住んでいるのはグランドセントラル駅から電車で1本、一軒家が多く立ち並び、ファミリー層が多い緑豊かな郊外エリアで、白人が比較的多い。 近所のスーパーマーケットでは日本食材が思った以上に簡単に入手できる。日本でも人気のトレーダージョーズには野菜コーナーにしいたけ(Shiitake Mushrooms)が置かれ、ストップ&ショップにはたまり醤油やグルテンフリーのヴィーガン醤油が陳列棚に並ぶ。 とある日、近所にある小さな日系食料品店で肉半額セールの日に開店前に並ぶと、先客がいた。若い黒人の女性だった。何を買いに来たのかを尋ねると、和牛(Wagyu Beef)を買って焼肉をするつもりだという。そして彼女はこう続けた。 「日本のアニメが好きで、『鬼滅の刃』の大ファンなの。アニメのなかに出てくるおにぎりが美味しそうで、日本食を食べてみたいなって思って。それから、いろいろ試してみてるの」 そういえば、2023年秋に公開となったスタジオジブリの映画、『君たちはどう生きるか(The Boy and the Heron)』を現地で観たが、本編上映前の予告編でスクリーンに映し出されていたのは、『千と千尋の神隠し』などさまざまなジブリ映画の食事のシーンのオムニバス映像だった。 日本のアニメがきっかけで、日本食にハマるという経路があることを初めて知った。