衆院選「地方再生へ何をするか示してほしい」グローバル経済に追いつけぬ日本、苦しい地方 長野・飯田商工会議所の原勉会頭
15日公示された衆院選(27日投開票)について、飯田商工会議所(長野県飯田市)の原勉会頭(75)は産経新聞のインタビューに応じ、「与野党は地方再生のために何をするのか示してほしい」と語った。 今回の選挙で野党は、自民党の派閥パーティー収入不記載事件をたたき続けるだろう。自民候補には党員資格を無くしたり、無所属で出たり、あるいは比例代表との重複立候補を認められなかった候補もいる。有権者から見ると、「自民はひどいことをやった」という人が多く、自民にとっては非常に厳しい選挙になる。ただ、この問題の追及だけで、野党が勝てるとも思わない。 小選挙区比例代表並立制下で政権政党を選ぶには、与野党が政策の違いをしっかり有権者にアピールしなければならない。しかし、自民党の石破茂首相(総裁)と野党第一党である立憲民主党の野田佳彦代表が述べる政策を比べたとき、大きな違いは感じられない。憲法改正問題を含め、国の根本についてもっと明確に示すべきだ。 戦後、日本は米国から与えられた憲法に束縛されてきた。自衛隊を認めるかどうかをめぐり、憲法改正の議論は進まなかった。しかし、世界中で紛争が起きている21世紀において、防衛政策をどうするか、戦争をせずに日本を守るにはどうするか、与野党ともに議論から逃げるべきではない。 また、地方経済はいま、非常に苦しい。日本全体がグローバル経済に追いつけなくなり、内需産業だけになってしまったからだ。地方再生のために何をするのか示してほしい。 品川-名古屋間を最速40分で結ぶJR東海のリニア中央新幹線の整備計画が進んでいる。長野県飯田市にも中間駅が計画されている。将来、首都と飯田と中京・関西がリニアで通勤・通学・通院圏になるという、日本の国土軸が変わる話だ。開業時期が遅れ、10年先の令和16年以降となったいまこそ、地方再生の国家プロジェクトとし、新しい技術や視点で日本の未来を示してほしい。 はら・つとむ 昭和61年、飯田ケーブルテレビ設立発起人となり、平成25年に同社社長。飯田まちづくりカンパニー、飯田まちづくり電力の社長も務める。28年に飯田商工会議所副会頭、令和元年から同会頭を務める。趣味はメジャーリーグを中心とする野球観戦。お薦めの一冊は渋沢栄一の「論語と算盤(そろばん)」。