速くて強くて格好いい! 小学生男児をダークヒーローのとりこにする「ソニック × シャドウ ジェネレーションズ」
■ シャドウの格好良さが小学生男児に刺さる 9月に開催された東京ゲームショウ2024に、8歳の息子を連れて参加した。筆者自身は2003年以降、必ず現地取材をしているが、プライベートで訪れたのは初めてだ。もっとも今回は子供向けの「ファミリーゲームパーク」で、息子の付き添いをするのが目的だが。 【画像】「ファミリーゲームパーク」に出展されていた「ソニック × シャドウ ジェネレーションズ」 会場内はかなり混雑しており、出展されていたゲームも長時間並ばないと遊べないものがほとんど。我慢の効かない息子を待たせるのは無理かなと思ったが、どうしてもやりたいと言うので、列が減った隙を見て並ぶことにした。それでも30分は待って、ようやく遊べたのが、10月15日発売、つまり発売前の「ソニック × シャドウ ジェネレーションズ」だ。 本作は青いハリネズミの「ソニック」を主人公にした作品と、黒の色違いキャラクターのような「シャドウ」を主人公にした作品の、2本を1パッケージにしたような内容。息子はシャドウの格好良さが気に入ったらしく、体験時間の15分間をずっと「シャドウ」の方をプレイ。遊び終わった後も「すごくおもしろかった! シャドウかっこいい!」と言うので、Steam版を購入することにした。 息子によると、毎月購入している漫画雑誌『コロコロコミック』に本作の漫画が連載されていて、キャラクターとしては先に知っていたらしい。ただ、私が『息子の初めてのセガはこれか』と言うと、『セガって何?』と聞き返された。確かに最近はCMでも『セーガー』と言わないし、8歳で『SEGA』は読めない。 ■ 高速アクションを簡単操作で出せる爽快感 本作は「ソニック ジェネレーションズ」と「シャドウ ジェネレーションズ」という2つのゲームを1パッケージにした作品。前者はステージを高速で走り抜けるアクションゲームで、後者はより自由度を高めたアクションアドベンチャーゲームになっている。 どちらを遊ぶかは、タイトル画面で選択できる。「ソニック」シリーズを遊んだことがなくても、「シャドウ ジェネレーションズ」からプレイしても問題はない。息子はほぼ「シャドウ ジェネレーションズ」だけをプレイしている。 息子はNintendo Switchで遊べる「星のカービィ」シリーズが大好きで、3Dのアクションアドベンチャーには慣れている。「星のカービィ」は難易度がかなり低く抑えられていて遊びやすいのだが、本作が難しいと言って投げ出したりはしていない。 本作はアクションがとても良くできている。一番のポイントとなるのが空中機動で、Aボタンでジャンプし、Xボタンで近くの敵を攻撃したり、物につかまったりできる。空中に飛び出したら、Xを押せば何とかなる場面も多い。 しかもアクションが格好いい。敵との距離を一瞬で詰めて、一撃で倒し、さらに次の敵へと目にも止まらぬ速さで攻撃を続ける。初めて本作を見た人がこの動きを見たら、スーパープレイを見せられているように感じるかもしれないが、実際にはXボタンを連打しているだけだ。 筆者が昔、シリーズ初代「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を初めて見た時、「こんな猛スピードのアクションを操作しきれるわけがない」と思ったのだが、ちょっとプレイするとすぐに操れるようになった。見た目は超スピーディで派手なのに、操作はとてもシンプルにまとめられており、それゆえに高い爽快感がある。 そのエッセンスが、本作にも確実に受け継がれている。簡単な操作で、見ている人が驚くような高速アクションを実現している。爽快なアクションを簡単に出せるのだから、子供が喜ぶのは当然だ。 ■ リトライしやすく、ほどよい難易度 本作のいいところは、アクションの爽快感だけで終わらせず、アドベンチャー的要素が強いところ。基本的にはステージクリア型のアクションゲームなのだが、3Dのフィールドはただ直線に進むだけでなく、重力方向が変わるかのように上下左右さまざまな方向へ駆け抜ける。 またステージ上の仕掛けがあちこちにあるのも本作のポイント。仕掛けを使えばステージ進行をスムーズにできるが、シャドウ自身の能力やプレイヤーのテクニックで越えられる場面も多い。 また空中でXボタンを押して掴める仕掛けによって、別の新たなルートが見つかることもある。ショートカット的な意味合いもあるのだろうが、子供にとっては『知らないコースを見つけた!』という喜びが強い。 ステージ上にある仕掛けを上手く使うのも、子供ではちょっと難しい場面もあるのだが、たとえステージ外に落下したりしても、直前のチェックポイントから何度でも再開できる。残機の数におびえる心配もない。表向きはシリアスなゲームなのに、システム周りは適度に緩く作られていて遊びやすい。 そして最大の見どころがボス戦。Xボタンで連続攻撃を仕掛けることもあれば、タイミングよく特定のボタンを押していくような操作を求められることもある。どのアクションもやはり格好よく爽快な見た目で、ボス戦の迫力をたっぷり伝えてくれる。 操作的には反射神経やリズム感を要求されるのだが、死んで覚えるというほどまでには厳しくない。本シリーズの伝統として、フィールドに落ちているリングを拾っていき、敵の攻撃を受けるとその場にリングをばら撒く。リングを1個でも持っていれば、敵の攻撃を1発耐えられる仕組みで、ボス戦の途中にもリングが現れて補充できる(少なくとも序盤のうちは)。 ボス戦もリングを拾いながら時間をかければだんだん上達して攻略できるので、短気な子供もコントローラーを投げることなくチャレンジできる。大人からすると、ちょっと簡単すぎるのではと感じなくはないが、ゲーム好きの8歳児にはお手頃だ。 では大人のゲーマーが遊ぶにはイージー過ぎてつまらないかというと、決してそんなことはない。より高速に移動し、スマートにリングを拾い、パーフェクトにクリアを目指すのはちゃんと楽しい。これもやはり、初代から受け継ぐプレイ感覚なのだと思う。 我が家は息子が遊ぶために購入しているが、私も横について『あそこから別のルートに行けるんじゃない?』とアイデアを出したり、ボス戦で『「B(押して)! X連打!』と一緒になって盛り上がったりもできる。そしてシャドウのアクションは、大人のゲーマーが見てもちゃんと格好いい。 強いて言えば、ストーリーが8歳にはちょっと難しい感じはするが、ゲーム内容的についていけないという話でもないし、それこそ親の私が横で解説してやってもいい。1人で黙々と遊ぶのもいいし、みんなでワイワイやりながら遊ぶのもいい。昔ながらのゲームの良さみたいなものを、ちゃんと持っている作品だ。 著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお) 1977年生まれ、滋賀県出身 ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。 ・著者Webサイト:https://ougi.net/ PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。
窓の杜,石田 賀津男