「米国版100円ショップ」ダラー・ツリー株が急落、年初来55%安に
「米国版100円ショップ」として知られるディスカウントショップ運営の米Dollar Tree(ダラー・ツリー)の株価は、9月4日の米株式市場で20%以上も急落した。この急落は、同社の期待外れの第2四半期決算を受けてのものだ。 ダラー・ツリーの株価は、4日に約22%急落して63.56ドルに沈み、2015年11月以来の最安値をつけた。1日あたりの下落率は、2001年3月15日以降で最大だった。 この記録的な株価の急落は、同社が期待を大きく下回る第2四半期の決算を報告したことを受けてのものだ。ダラー・ツリーの調整後の1株当たり純利益は0.67ドルで、以前のガイダンスの1~1.10ドルを大きく下回り、収益も73億7000万ドル(約1兆592億円)とアナリスト予測の74億9000万ドル(約1兆730億円)に届かなかった。また同社は、通年の利益見通しを以前の予測から約20%引き下げた。 ダラー・ツリーの最高執行責任者(COO)、マイク・クリードンは4日の電話会議で、「当社は、第2四半期の実績や通年の業績見通しの修正を迫られたことに満足していない」と語った。彼は、この期待を下回る業績の一因が、「我々がこれまでに見た中で最も困難なマクロ環境」にあると述べつつ、ここ数カ月で複数の小売企業が、「米国の弱い消費」に言及したことにふれた。 エバーコアISIのアナリストであるマイケル・モンターニとグレッグ・メリッチらは、ダラー・ツリーの株価の急落が、「中間及び低所得層の消費者に対する逆風」が続いていることの現れだと述べて、ダラー・ストアと呼ばれるこのカテゴリ全体が「困難に直面している」と指摘した。ダラー・ツリーの競合のDollar General(ダラー・ゼネラル)やFive Below(ファイブ・ビロウ)も同様な厳しい状況に直面している。 ダラー・ストア大手3社の株価は、年初来でいずれも大きく落ち込んでいる。ダラー・ゼネラルは年初来で42%安で、ダラー・ツリーは同55%安、ファイブ・ビロウは同65%安を記録している。 ダラー・ツリー株は、2024年において、S&P500種株価指数の構成銘柄の中で3番目に悪いパフォーマンスを記録しており、薬局チェーンのウォルグリーンやCVS、美容チェーンのUlta Beauty(アルタ・ビューティ)やBath & Body Works(バス・アンド・ボディー・ワークス)などの実店舗の小売業者とともにS&P500の最下位グループに名を連ねている。 ■「買いのチャンス」との見方も ダラー・ツリーの時価総額は、2022年のピーク時に約400億ドル(約5兆7484億円)へと達していたが、4日の取引開始時点では176億ドル(約2兆5294億円)だった時価総額は、当日136億ドル(約1兆9544億円)へと減少した。Family Dollar(ファミリーダラー)チェーンも所有する同社は、米国とカナダで1万6000以上の店舗を運営している。 ファクトセットのデータによると、ダラー・ツリー株は現状で1995年の上場以来、予想PERに対して最も安い水準で取引されている。同社株の現在のPERは8.9で、1月から50%以上下落している。 「このことは、ダラ・ツリーの再生物語を信じる人々にとっては買いの機会を示している」と、トゥルーストのアナリストであるスコット・シッカレリらは指摘した。彼らは、同社株の目標株価を140ドルから79ドルに引き下げつつも、買いの評価を維持した。「現状の株価は大惨事だが、このレベルではすべてのマイナスが完全に織り込まれたと考えられる」とトゥルーストは、顧客宛てのメモで述べている。
Derek Saul