都内にスーパー「さとう」ない…!?飛騨あるある映画「上京物語」公開 岐阜・高山市出身の俳優主演
岐阜県高山市出身の俳優石田梨乃さん(25)が主演を務め、飛騨地域と東京を舞台にした短編映画「飛騨つつじの上京」が動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されている。監督の菅原稜祐さん(31)は「飛騨のあるあるを詰め込んだ。地元だけでなく地域外の人に見てもらい、魅力的な文化を知るきっかけとなれば」と話している。 「飛騨のみたらし団子は最高やなぁ~」。冒頭のシーンでは石田さん演じる主人公のつつじが、香ばしい醤油(しょうゆ)だれの団子を頬張った。映画では上京を決意した飛騨出身のつつじが、都会と飛騨との違いに戸惑う様をコミカルに描いている。 菅原さんは、人気映画「翔んで埼玉」を手がけた脚本家の徳永友一さんに師事し、多数の映画祭で受賞・入選の経験がある。現在は会社員の傍ら映画監督として活動する。 今回の映像制作は、東京都の企業「wild idea」が「都会×田舎」をコンセプトとした短編映画の企画を募集していたことがきっかけ。菅原さんは、交流サイト(SNS)で“田舎あるある”を発信している石田さんを起用したいと考え、石田さんの故郷である飛騨を舞台にした映像作品のアイデアを応募した。温かみのあるストーリー性などが評価され、最優秀賞に選ばれて映像化が決まった。完成した映画は沖縄県で6月28~30日に開かれる、宮古島チャリティー国際映画祭のストーリー短編部門にノミネートされている。 映像制作に当たり、菅原さんはネットで飛騨について調べたり、岐阜出身の知人と話したり、石田さんから話を聞いたりして脚本を組み立てていった。漬物ステーキなど特色のある文化を知るたびに「飛騨って面白い」という思いが募っていったという。 完成した映画には、飛騨地域の民芸品のさるぼぼや特産品の赤かぶ、漬物ステーキが登場するほか、東京には飛騨地域おなじみのスーパーマーケット「さとう」がないことに驚いたという石田さんの実体験も盛り込んだ。 撮影で初めて飛騨に訪れたという菅原さん。飛騨地方の方言のイントネーションの正解が分からず苦戦したという。石田さんに確認したり、飛騨なまりのせりふを録音したものを他の出演者に手渡したりするなどして、岐阜らしさの再現にこだわった。 作品では、都会の人と仲良くなるため、空回りしながらも、あの手この手を尽くして心を開いてもらおうと奮闘するつつじが描かれている。菅原さんは「どの世代、地域でも人と関わりたいという思いが根本にあると思う」と話し、「外部の人間だからこそ気付けた地域の魅力があった。今後も知られざる魅力にフォーカスする作品づくりができれば」と意気込んだ。
岐阜新聞社