PS4/PS5向けヒット作品に贈られる「PlayStation Partner Awards」受賞作品の開発者インタビューまとめ。『バイオハザード RE:4』『ファイナルファンタジー XVI』など受賞7作品をインタビュー
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、2023年12月1日にこの1年でヒットしたPlayStation 5とPlayStation 4向けゲームの中から受賞作品を表彰する「PlayStation Partner Awards 2023 Japan Asia」を開催した。 『PlayStation Partner Awards 2023』画像・動画ギャラリー 18時から行われた表彰式に先駆けて行われたのが、メディア向けのインタビューだ。 別記事でフロム・ソフトウェアの『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』と『エルデンリング』のインタビューをご紹介したが、こちらでは「GRAND AWARD」受賞作の『バイオハザード RE:4』と『ファイナルファンタジー XVI』、「PARTNER AWARD」受賞作の『eFootball 2023』、『Wo Long: Fallen Dynasty』、『クライシス コア ―ファイナルファンタジーVII― リユニオン』、『ストリートファイター6』、そして「SPECIAL AWARD」を受賞した『バイオハザード ヴィレッジ VRモード』について、インタビューの模様をお届けする。 文/高島おしゃむ ■「原作と同じぐらい楽しめた」というひと言が救いになった──『バイオハザード RE:4』開発者インタビュー 安保康弘氏(以下、安保氏): このような賞をいただけて大変嬉しく思っております。 平林良章氏(以下、平林氏) 本当にひと言ですね(笑)。感謝しかないですもんね。チーム一同代表する形で。 ──制作時にの際に「核」を大事にしたとおっしゃっていましたが、それが実現できたと感じられた、一番大きな点があれば教えてください。 平林氏: 今回ローンチをさせていただいた中で、お客様が原作を楽しんでいたときの思い出を本作で感じられたというコメントをSNSでいただいております。たとえば「原作でプレイしたときの思い出が『バイオハザード RE:4』でも残っていたから嬉しい」など。 また、原作で何度も周回プレイをした方が本作でも周回プレイを楽しんでいただけたようです。 『ザ・マーセナリーズ』や『セパレートウェイズ』を出したことで、「全てが戻ってきた」というコメントを見たとき我々が思っていた「核」を感じていただけた実感がありました。 ──9月21日に配信された追加コンテンツ『セパレートウェイズ』の反響はいかがでしたか? 平林氏: 本編でレオンをプレイいただいたという上で、「もう一度プレイしたい」と言っていただける方が多々いらっしゃいました。そこで、レオンではできない「エイダらしいワイヤーを使ったアクション」を実装しています。 ストーリーのリメイクにおいても、「原作以上に本編との絡み方がクリアになった」というポジティブなお言葉をいただきました。 ──『バイオハザード』シリーズはこれで『RE』とタイトルに付けられたリメイクが2、3、4と出ており、クオリティも素晴らしくユーザーの人気も高いと思います。この「RE」というリメイクはひとつのブランドとして今後も続けていきたいとお考えでしょうか? 安保氏: リメイクシリーズの3作目が出て、大変ご好評をいただいているという手応えをすごく感じています。昔の作品を愛している側としても、今の時代の方々に遊んでいただけるのはすごくうれしく思っていますし、我々としてはこれを続けたいと思っています。 ただ、どういったものをやるかについてはいろいろと選択肢があると思います。今後の情報にご期待ください。 ──ユーザーの声の中で印象的なものがあれば教えてください。 平林氏: この取り組みをすることは非常に難易度の高いミッションだと思っていました。ユーザーの方々に喜んでいただけるのか不安で仕方ないないまま邁進している日々でした。それがローンチをまたいだときに、「原作と同じぐらい楽しめた」というそのひと言が我々にとっては救いになりましたし、印象深かったです。 ──『RE』シリーズは、なぜこれほどクオリティが非常に高く、なおかつ一定の高さで定期的に供給されています。業界全体を見ても、これほどクオリティが高く結果を出しているリメイクのシリーズは本当に珍しい希有な存在です。こちらはなぜ実現できているのでしょうか? 安保氏: 新作を作る時は、どういうものが皆さんに受け入れられるかわからない中で作っていく難しさがある中で、ベストなものを作ります。それに対してリメイクは原作がまずあって、それを遊んだお客さんがいるという状態からスタートできるという優位なところもあります。そのため、事前にお客さんの声を拾えることがすごくありがたいです。 我々は真摯に受け止めて、お客さんがこう受け止めたら、次はこういう形で作ったらどうだろうかというスタンスで取り組んでいます。その結果、このような評価をいただけているのではないかと思っています。「ユーザー目線でのもの作り」を、スタッフは心がけています。 平林氏: 定期的に出せる理由についてはものすごくみんなが頑張っているからだと思ってください(笑)。何のノウハウがあるわけでもないですし、カッコつけることもございません。ただ、「REエンジン」というものを弊社はよく使いますので、各チームでの情報共有とその積み上げが時間的な助けにはなっているのは事実です。 ■心が揺さぶれるようなプレイ体験ができたという声が多かった──『ファイナルファンタジー XVI』開発者インタビュー 髙井浩氏(以下、高井氏): 『ファイナルファンタジー XVI』は、PlayStation 5専用ソフトとして開発を進めてリリースすることができました。その上で、「GRAND AWARD」という名誉ある賞をいただけて非常に嬉しく思っています。 前廣和豊氏(以下、前廣氏): この度栄えある賞をいただきまして、まことに嬉しく思っています。長い間開発がかかりましたけど、スタッフ一同が誠心誠意作ったものが、こうしてプレイヤーの皆さんに受け入れられることができたのは嬉しく思っています。主人公クライヴ・ロズフィールドの物語が、プレイしてくださった皆さんの生きる糧となれば、担当としても嬉しく思っています。 ──本作のどのような点がもっとも評価されたとお考えでしょうか? 高井氏: 難しいですね(笑)。世界観やストーリーという部分にこだわり抜いて作ってきましたが、ありがたいことに「心が揺さぶれるようなプレイ体験ができた」という声が多かったです。我々が「召喚獣合戦」と呼んでいる大規模な大型モンスターが戦うバトルがあるのですが、そうしたものが、適度に驚きを与えることができたのではないかと思います。 あとは、今回フルアクションバトルに舵を切っています。アクションが苦手という人でもプレイできたり、「想像していたよりも『ファイナルファンタジー』を体験できた」と思っていただくことができたようです。トータルで受け入れてもらえたのではないかと思っています。 ──ゲームの制作において、最も大事にしていたポリシーがあれば教えてください。 前廣氏: プレイ中に、世界観から没入させるということを大事に考えていました。一度パッドを握ったら、気持ち的にはクリアするまで離さないくらい、とにかく没入していただくというのが大事だと思っています。それはゲームデザインに関してもそうですし、ストーリーに関してもそうです。これだけコンテンツがあると、少しの違和感ですぐにやめて次のゲームに行ってしまうものですが、そうしたことがないように心がけていたことがポリシーのひとつです。 ──『ファイナルファンタジー』シリーズのナンバリングタイトルで、世界的に見ても注目される中でプレッシャーもあったかと思います。そうした中で、制作の前後でどのように感じてらっしゃいましたか? 高井氏: もちろんスクウェア・エニックスとしては、『ファイナルファンタジー』という大きなタイトルのナンバリングなので「プレッシャーのかけらもなかった」ということはありません。しかし実を言うと、開発中はそこまでプレッシャーを感じてはいませんでした。 やはり、いよいよリリースが近づき、メディアの皆さんにお話しするような機会やお会いする機会が増えてきたあたりから、だんだんと心臓がバクバクしてきたというのが正直なところで、リリース日にはちょっと寝られないぐらい緊張しました。 ただ、体験版の評判がとても良かったので、そこで一度安心することができました。しかし評判が良かったことで、「このままうまくいかないだろう」みたいな、逆の不安が出てきました(笑)。正式にリリース発売され、皆さんがエンディングを迎える。賛否両ありながらも世界中で多くの人から「良かった」という声をいただき、そこでようやくひと安心したという気持ちの流れでした。 ──本作のシステムをみたときに、「アクティブタイムロア」という要素はすごく革新的で実装がかなり大変だったと思います。こちらで苦労した点と発売後の反応で良かった点があれば教えてください。 高井氏: 「アクティブタイムロア」は吉田(直樹)とかいうプロデューサーのツルのひと言で始まりました(笑)。メインストーリーの動線の中だけで2,000くらい、いわゆる「シナリオの区切り」というのがあります。その時々で、プレイヤーが何を求めていて、どういう情報をこちらから提供すれば物語をより深く理解していただけるかという部分を全部……手作業でやったんです……。 キーワードの解説なので、長々と書いてあっても読んでもらえないため、ひと呼吸で読めるぐらいの文量にするのもすべて手作業でやりました。本当にすべて手作業だったで、組み込むこと自体がとても苦労した部分でした。 ただ、発売してプレイヤーの皆さんが触っていただいた結果、非常に好評をいただいているので、やって良かったなとは思っています。それによって、物語の理解が深まったという意見もかなりいただいているので、本当に良かったなと思うんですけど……説明したとおりあまりに手作業なので、もう二度とやりたくないです(笑)。 ──現在2種類のDLCが発表されていますが、目指しているところやユーザーにどんな体験を与えたいと考えているのか教えていただけますか? 高井氏: 『ファイナルファンタジー XVI』の世界をより詳しく知っていただくという点と、このふたつのエピソードはクライヴの物語の中に組み込まれるって形にはなります。隠された闇の部分や謎というものが、さらに体験できるようなコンテンツになります。そして新たな強敵や、さらに戦闘を楽しむための要素を盛り込んでお届けできるようなDLCとなっていますので、詳しくはあまり言えませんが、ぜひ楽しみにお待ちください。 ■Free to Playタイトルになり開発のサイクルも短くなった──『eFootball 2023』開発者インタビュー 中西宏氏(以下、中西氏): この度は栄えある賞をいただき、誠に嬉しく思っております。『eFootball』は、2021年に『ウイニングイレブン』から名前を変えました。同時に完全なFree to Playタイトルに、ビジネスの形態を変更して生まれたタイトルです。そのような大きなチャレンジをした後に、このような大きな賞をいただきまして、非常に嬉しく思っております。 木村征太郎氏(以下、木村氏): 『eFootball』にリブランドしたタイミングで、2022年は残念ながら良い成績を残せず、賞をいただけなかったという非常に悔しい思いをしました。今年は賞をいただき本当に大変嬉しく思っております。それも、いろいろ遊んで応援していただいたユーザー様の応援のおかげだと思っております。引き続き遊んでいただけたらなと思います。 ──Free to Playタイトルということで、売り切りのタイトルとは異なる難しさがあるのかなと考えています。今年から継続して好成績を続けられるようになった秘訣を教えてください。 中西氏: 以前パッケージを売っていたときは、サッカーシーズンに合わせて発売していました。そこに向けて、全てのパートが動くという制作の形になっていたのですが、逆にその制限がなくなったため年に3回か4回大きなアップデートをしています。自然と開発のサイクルが短くなり、回転の速度が速くなっていると実感しております。 一旦開発をして新しいアップデートが出ると、すぐ目前に次のアップデートの締め切りが迫っているというような状況です。その開発の体制を変えるところを、今まさに現在進行形で挑戦しており、運動型タイトルにアジャストしていこうとしています。 あとは、お客様の声にこれまで以上に耳を傾けるようになったと思っています。その声に対して「次のアップデートに間に合わせるために、1週間後に実装する」という感じで動いたこともあります。そうした速度も非常に上がったなと思っております。 ──「AFC eアジアカップ 2023」の競技タイトルにも選ばれましたが、このアジアカップがどんな展開になればいいと期待されていますか? 木村氏: eアジアカップは来年2月に開催されますが、我々の行くところとしてアジア全域のお客様、サッカーファンが熱く繋がって盛り上がっていただければと思っております。 ──サッカーを題材にした作品は海外ユーザーからの反応が多いと思います。日本のユーザーからは、どのような反応がございましたか? 中西氏: 日本のユーザーからは、大きな反響を毎回いただいております。お客様の声によって追加される仕様がたくさんありますので、それによって共に作っていく感覚が以前より出てきていると思っています。今後もそのような形で続けていきたいです。 ■スピーディーに攻防が入れ替わる中華アクションに力を入れて開発──『Wo Long: Fallen Dynasty』開発者インタビュー 平山正和氏(以下、平山氏): まずは「PARTNER AWARD」という素晴らしい賞を受賞できたことを大変心から嬉しく思っております。この受賞に際しまして、プレイしていただいたユーザーの全ての皆様に、この場を借りて感謝申し上げたいと思います。 『Wo Long: Fallen Dynasty』は、今月12月12日にダウンロードコンテンツ3弾も発表され、リリースさせていただくことになっており、より皆さんに楽しんでいただけるようこれからもチーム一同頑張ってまいりたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。 ──三国志全体を考えると、ストーリーはまだはまだこれからという感じです。次回作や今後の展開について、展望や希望されているものはございますか? 平山氏: 現在はチーム全体としてDLC第3弾に向けて全力投球しているという状況です。そのため、残念ながら現段階で続編などの情報をお伝えすることはできません。また、本作の後の時代に関しては、諸葛孔明や龐統が活躍するなど、軍師の時代として地略巡る争いというので、また『Wo Long』と違う魅力がある時代だと考えています。作れるチャンスがあればぜひ検討していきたいと現段階では思っています。 ──戦闘システムに非常に高い評価が集まっていますが、開発者視点から手応えはいかがでしょうか? 平山氏: 当初から中国を舞台にしていることもあり、スピーディーに攻防が入れ替わる中華アクションに関してはずっと力を入れて開発をしてきました。その部分に関してはある程度の実現ができたと思っています。ただ、アップデートを通じていろいろな調整を継続している部分もあり、自分自身がもっともっと良くしたいとか、こういうことをやりたいなというところについてはまだあります。なのでチャンスがあれば、次回開発も含めて戦闘システムを引き続き磨いていきたいと思っています。 ──具体的に今いえることはございますか? 平山氏: 中華アクションは、裁き方もすごく多種多彩で、そこは地上や空中も関係ありません。あとは物や打撃など、さばきも本編のテーマではあるので、そこはバリエーションを出すなどアクションの深みをもっと出していきたいと現段階では思っています。 ──本作は、『無数』シリーズとも『仁王』シリーズとも微妙に異なる立ち位置にあるゲームだと思います。その辺りに関して、反響がこのふたつのシリーズと異なっている地域などはありますか? 平山氏: 三国志を題材にしていることもあり、『三國無双』シリーズとは地域比率が近しい傾向がありました。基本的には、中国を中心としたアジア圏というところが一番強い地域になっており、北米、欧州が同じくらいというのが大まかな状況です。北米、欧州の皆様に関しましては、三国志というIPというよりも。アクションゲームとして興味を持っていただいたという傾向があります。 ──Team NINJAというと高難易度アクションのイメージがあります。本作に関して、ユーザーの受け止め方をどのようにご覧になっていますか? 平山氏: リリースした後で一番印象的だったのが、「簡単」と言うユーザーと「難しい」と言うユーザーに意見が構分かれていたところです。『仁王』シリーズと比較して、アクションで乗り越える比率が少し多かったタイトルだったと考えており、そうした部分が原因としてあったのかなと思います。 ただ、幅広い方に楽しんでいただきたいと考えておりただ数値として簡単にする、強く弱くするだけではなく、ボスであればアクションを変えてAIを調整するとか、プレイヤーサイドの攻略を簡単にするという部分でいえば、プレイヤーアクションの改善やRPGの横の広がりみたいなところを強化していくことを意識してアップデートをしてまいりました。 ■ストーリーを重視して現代に蘇らせた──『クライシス コア ―ファイナルファンタジーVII― リユニオン』開発者インタビュー 佐藤万里子氏(以下、佐藤氏): この度はこのような素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。この賞をいただいたのも、応援してくださった方や開発の皆様が頑張ってくださった結果だと思うので、本当に嬉しく思います。 また、来年には『ファイナルファンタジー VII リバース』(以下、『FF7 リバース』)の発売も予定していますので、『クライシス コア』も合わせて楽しんでいただければと思います。 ──日本ほどPSPが普及しておらず、今回初めてプレイした海外ファンも多かったのではないかと想像できます。海外のファンからの反応はいかがだったでしょうか? 佐藤氏: まさに海外のファンの方からも多くの声をいただきまして、好評な意見が多くて嬉しかったです。当時はPSPがあまり海外では普及していなかったので、今回やっとプレイできたという声がすごく多くありました。「ストーリーは知っていたけど、実際に体験できて本当によかった」という声を本当にたくさんいただき、この『リユニオン』を発売することができて本当に嬉しかったですね、 ──来年『リバース』が発売されますが、これから本作をプレイする人に対してここに注目しておくとより楽しめるような部分があれば教えてください。 佐藤氏: あまりたくさんは言えませんが、この『クライシス コア ―ファイナルファンタジーVII― リユニオン』というのは、オリジナルの『FF7』より前のお話というところが、ひとつポイントになっています。そこで、本作の主人公のザックスはもちろんのこと、『FF7』に出てくるセフィロス、エアリス、クラウドなど重要なキャラクターたちの過去のお話が描かれているというのがポイントです。ここで何があったかということを、本作を実際にプレイして体験していただき、『FF7 リバース』をプレイしていただくと、あっ、こういうことだったのかと分かる部分もあります。 『ファイナルファンタジー VII リメイク』(以下、『FF7 リメイク』)を既にプレイした方は分かると思いますが、「あれ? 『FF7』とか『クライシスコア』のお話とマッチする部分とすれ違っている部分がある?」ということに気がつくと思います。その謎を楽しんでいただきたいのが、『FF7 リバース』となるので、来年の発売も楽しみにしていただければと思います。 ──『FF7』は多くのコアなファンを抱えていますが、プレイヤーからの反応で特に印象的だった大きい声を教えてください。 佐藤氏: いろいろな声を発売後にいただきましたが、個人的に印象に残っているのが「ストーリーは知っているのに泣けた」とか「感動した」という方がすごく多かったところです。オリジナルが発売されてから15年という年月が経っていますが、ストーリーは色褪せずに人を感動させることができるなと思いました。これから10年とか20年先も、人を感動させていくことができる作品なのかなと思ったのは、すごく印象深い感想です。 ──『クライシスコア』という人気の高い作品を現代に蘇らせるうえでこだわった部分や大切にしたところを教えてください。 佐藤氏: ひとつ目はやはりストーリーを変えないところです。ストーリーがすごく人気の作品だったので、今回もストーリーを重視していますし、私がこの作品の大ファンということもあるので大事にしたいとこだわっています。この作品は、『FF7 リメイク』を遊んだお客様が手にしてくださるのかな、というところを考えたので、プレイしても違和感がないようにするところもかなりこだわりました。たとえば、手触りやバトルもかなりこだわって、調整に調整を重ねて開発をしたというのがこだわったポイントです。 ■全人類に遊んでもらいたい──『ストリートファイター6』開発者インタビュー 松本脩平氏(以下、松本氏): 『ストリートファイター』は長い歴史がありますが、今回、開発チームの中山(貴之氏)ディレクターが大きなチャレンジをしています。格闘ゲームではなく、本当に新しい『ストリートファイター』を作ろうとやってきたことがお客さんに伝わり、それがだんだん広まっていって、結果的にこうして嬉しい賞をいただけた。チャレンジして取り込んだことが、このような受賞につながり、そこはものすごく嬉しいし、開発チームの努力や皆さんに感謝しています。 ──ワールドツアーというモードは、普段格闘ゲームをプレイしないような方にも遊んでもらえるような意味もあったと思いますが、発売後はどのようなフィードバックがありましたか? また、今後も『ストリートファイター』シリーズとしてこのモードは実装されていきますか? 松本氏: 『ストリートファイター6』自体は、今まで遊んできてもらった人にも全力を尽くしたいし、これから新しく入ってくる人に対する全力尽くしたいと思っています。そのひとつが「ワールドツアー」です。今まで遊んできた人は「ワールドツアー」を遊ぶことで、ストーリーを改めて理解することができます。 新しく入ってきた人に対しては、格闘ゲームの広範を学べるようなゲームデザインになっています。「ワールドツアー」を遊んでいただけるとクリアする頃には、「リュウの好物が何なのか」とか「気づいたら波動拳が出せるようになっている」というところを狙って作っています。 そこを体験していただくことで格闘ゲームや『ストリートファイター』の面白いところにについての理解が深まると思います。また、「キャラのことをもっと好きになった」という声もいただいているので、『ストリートファイター』のブランドとしてもすごくよかったです。 「ワールドツアー」を今後も実装していくかについては、これから考えるところです。新しく入っていただいたユーザーのプレイ動向を見て改善点やアプローチを考えなければなりません。そちらと付随して、DLCやゲームの遊び方を考えることになるのかと思います。 ──メディアミックスなどは今後考えていますか? 松本氏: 『ストリートファイター』自体は、昔から音楽や映像、漫画、アニメ、コミックなどメディアミックスをやってきた歴史があるので、それをきっかけに好きになってくる人もいると思います。『ストリートファイター』が好きな人は、戦うのが好きな人もいれば、キャラが好きな人もいたり、ストーリーが好きな人もいたりするし、いろいろなお客様がいっぱいいて36年ずっとやってこられたので、そこは引き続きやっていきたいです。 ──本作のアクセシビリティに対応して「SPECIAL AWARD」も合わせて受賞されていますが、「モダンタイプ」など裾野を広げて格ゲー界の歴史を大きく動かしている作品になっているのではないかと感じています。制作サイドとして、どのように感じられていますか? 松本氏: アクセシビリティに関しては、実は前作の『ストリートファイター5』のときからチャレンジしていました。そのチャレンジに対して、ブラインドの方から意見をいただいていたんですね。でも『ストリートファイター5』ではアップデートができなかったため、『ストリートファイター6』でちゃんと改善し、もっといいものを作ろうという取り組みがありました。 基本的に、『ストリートファイター6』は「全人類に遊んでもらう」という目標があったので、身体もそうですが、性別や年齢しかり、全員に遊んでもらいたいと思っています。当然アクセシビリティが必要になるので、操作タイプも「クラシック」、「モダン」、「ダイナミック」というのがあります。 『ストリートファイター5』のときに老人ホームで大会をしましょうというイベントが結構ありました。というのも、ひとつ押すだけで楽しめて、そこからコミュニケーションが生まれるからです。そのときからやれることは全部やりたいと思っていました。実際に行われているというところを見るのはすごく嬉しいですし、チームも誇りに思っていますし、まだまだ改良できることはしたいと思っています。 ──格闘ゲーマーだけではなく、初心者のストリーマーの配信もかなり広がっています。印象に残っているユーザー主催のイベントがあれば教えてください。 『ストリートファイター5』のアーケードエディションくらいのタイミングから、ストリーマーやVTuberなど、いわゆるTwitchやYouTubeで配信する人たちにプレイしてもらいたいと思っていました。『ストリートファイター6』は2018年から開発をしていましたが、『ストリートファイター5』を運営しているタイミングから開発が開始されていたことになります。 たとえば、にじさんじさんが『ストリートファイター5』をイベントで遊ばれていましたが、絶対に逃したくなかったんですね。ただ『ストリートファイター5』だと、それを見てやってみたいと思っても、操作が難しかったり難易度が高かったりすることから離脱しやすいだろうなと考えていました。でも、その時点で『ストリートファイター6』には「モダンモード」があったり見やすかったり、何が起こっているかわかるようなものがあるということが自分は知っているので、そこはずっと狙って動いていました。 特に日本ではストリーマーやYouTubeの人に遊んでもらい、それを見て入ってきた人もやっぱり「モダンタイプ」があるから続けてもらえています。イベントだけではなく、その後も継続して遊んでもらえるということが大事で、そういうところがズバっとハマりました。 個人で開かれている大会というと、やはり「CRカップ」はすごいインパクトですよね。もともと他のシューターなどのゲームではやられていて、当然あのようなな大会を『ストリートファイター6』でもやりたいと思っていました。 『ストリートファイター6』は新キャラの比率が多いのですが、新キャラの名前を知っている人がすごく増えたんです。それはストリーマーが使っているからだと思います。今後のストリートファイターのブランドとして、マリーザやマノンというキャラを知ってもらえることは大きなアドバンテージです。そういったところも含めてやって良かったですし、これからも続けていきたいですし、そういう動きを止めたくないです。 ■PS VR2は体験価値として非常に奥深いポテンシャルがある──『バイオハザード ヴィレッジ VRモード』開発者インタビュー 神田剛氏(以下、神田氏): この度「SPECIAL AWARD」を受賞して本当に嬉しく思っております。まずは開発を代表してお礼申し上げます。『バイオハザード ヴィレッジ』は、今回で3回目の賞をいただいています。大変多くの方に、長い間遊んでいただけて本当に光栄に思っています。 ──本作は制作環境も前作から大きく変わったと思いますが、PS VR2に対応するということでこだわった点があれば教えてください。 神田氏: PS VR2 Senseコントローラーのゲームプレイへの対応というところが非常に苦労もしました。特に銃アクションの細かいところにこだわりすぎると、集中やサバイバル・ホラー感がどうしても薄れてしまいます。マガジンを入れ替えて、コッキングして撃つというところも、それとなくSenseコントローラーであればゲームプレイの中でもかっこいいアクションが感じることができましたので、そこが難しいところでもあり、最終的には非常に達成感があります。 ──『バイオハザード ヴィレッジ』の発売前から、ドミトレスク夫人というキャラクターが非常に人気です。今後さらにこのキャラクターを活用したいというお気持ちはございますか? 神田氏: 『バイオハザード ヴィレッジ』のアイコン的なキャラクターとして、メインビジュアルに使用しています。可能な限りドミトレスク夫人を活用したいという気持ちはあります。今後の『バイオハザード ヴィレッジ』に関しては、今のところ追加コンテンツの予定はございませんので、引き続きVRモードで体験いただきたいなと思います。 ──今後のシリーズで、VRモードを実装していく予定はございますか? 神田氏: 『バイオハザード』とホラーとVRの相性がよく、そうした反響をいただいています。開発期間やリソースなどいろいろありますが、カプコンとしては可能な限り前向きにそういう姿勢は持っていきと思っております。 ──今作はPS VR2に対応ということでポテンシャルや独自性など、作り手側が見たときに気づいた部分や特徴があればお聞かせいただけますか? 神田氏: 解像度が上がるので、体験価値として非常に奥深いポテンシャルがあると思いました。特に昨今のハイエンドゲームでは、平面でもすごく解像度が高いグラフィックが楽しめます。VRでは、さらに体験が進めていけます。先ほどドミトレスク夫人の話がありましたが、間近でスケール感のある敵やキャラクターを見ると、それをさらに追求していきたいと思いました。 Senseコントローラーの体感部分がマッチすれば、ゲームプレイ体験としては非常にまだまだ価値の高いものを作り出せるんじゃないかと思っています。(了)
電ファミニコゲーマー:高島おしゃむ
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