５回、外野手のシーズン刺殺数日本記録を更新し、歓声に応える辰己

　楽天の辰己涼介外野手（２７）が８日、楽天モバイルパーク宮城で行われた日本ハム戦で、外野手としてシーズン３９２刺殺を達成し、従来の記録を７６年ぶりに更新した。昨季まで３年連続ゴールデングラブ賞に選ばれた名手の大記録には、どのような要因があったのか、データで比較した。（数字は１試合を残す８日終了時点） 　これまでのプロ野球記録は、１リーグ時代の１９４８年に青田昇（巨人）が記録した３９１刺殺。同年は１４０試合と現在とほぼ同じ試合数だったが、環境は大きく違う。１チーム平均の奪三振は４８年が３９０．６個、今季のパ・リーグは１００７．５個と、倍以上の差がある。奪三振が少なく、シーズン刺殺の上位記録は４０年代後半に集中していることから、当時は外野フライによるアウトが今よりも多かったとみられる。また、当時はラビットボール本格導入の前年で、１チーム平均の本塁打は４８．８本。投高打低といわれる今季のパ・リーグは平均８３．７本となっている。 　一方で、辰己にとって記録達成に有利な条件もあった。楽天投手陣は今季、奪三振がリーグ最少。それに対し、外野フライの割合はリーグ最多で、ともに残り１試合の８日終了時点で２位の西武よりも１１３個多い。外野手の合計刺殺数も楽天は１０１３個でリーグトップ、２位の西武は９７０個となっている。 　また、今季のパリーグは残り１試合で６球団合計の本塁打数が昨季より１０５本減少。外野への飛球に占める本塁打の割合（ＨＲ／ＯＦ）は昨季６．７％から、今季は５．５％に下がった。 　２リーグ分立後に限っても、これまでの最高記録は広瀬叔功（南海）が６３年に記録した３５３刺殺。環境の違いもあって長年破られなかった記録を、辰己は塗り替えた。現役時代に外野の名手として知られ、目の前で記録達成された日本ハムの新庄剛志監督は９日、インスタグラムに自身の現役時代の成績（キャリアハイは２８９刺殺）を投稿。「昨日の記録がすごい事が今わかりました」と賛辞を贈った。