【老後資金は投入厳禁】ハラハラ・ドキドキ…あえての「高金利通貨投資」という楽しみ〈経済評論家が解説〉
金融商品に投資をする場合、株、投資信託、債券などさまざまな選択肢がありますが、利率の高さが突出しているのが、いわゆる高金利通貨国の金融商品です。ハイリスクであることから慎重になるべきといえますが、考え方次第では、意外な楽しみ方もあります。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
高い金利は魅力だが、リスクの高い「高金利通貨」
高金利通貨国のひとつであるトルコの国債は、高い金利が魅力的。そのため、購入を検討している人もいるのではないでしょうか。もしかしたら、金融機関でお勧めされることがあるかもしれません。 小遣いで買うのであれば悪い話ではないと思いますが(理由は後述)、リスクがあることだけはしっかり認識しておきたいものです。 儲けようと思えば、必ずリスクを覚悟する必要があります。リスクなく儲かる商品など存在しないからです。万が一そんな商品が存在したとしても、読者の目に止まる前に、プロたちが買い占めてしまうでしょう。 そもそも、トルコ国債を持っているだけでリスクなく高い金利を受け取れるなら、金融機関が自分たちだけで持っているはずで、読者には売ってくれないでしょう。
トルコが外国の庶民に「国債を買って!」と頼むのは、なぜ?
筆者の好きな言葉に「相手の立場で考えよう」というものがあります。 道徳の先生がイジメっ子に「イジメられる人の立場に立って考えなさい」と諭すときなどに使いますが、筆者が関心を寄せているビジネスの領域では、「ライバルの立場に立ち、ライバルがなにを嫌がるか考える」ときに使います。 たとえば「必ず儲かる投資商品」を読者に売ってくれるという人がいたら、「自分が必ず儲かる投資商品を持っていたら、見知らぬ人に売ってあげるだろうか?」と考えるわけです。それによって詐欺の被害に遭う確率は大きく下がるはずです。 筆者は、講演や原稿でも、自分が言いたいことではなく、相手が聞きたいこと、知りたいことを話したり書いたりするように心がけています。 もっとも、大学での講義は違います。こちらが「これは知っておいてほしい」ということを話します。なぜなら、多くの学生が欲しいのは「単位」であって、経済学の知識等ではありませんから(笑)。 相手の立場で考えるというのは、「言うは易く行うは難し」です。たとえば将棋や囲碁では、自分の指したい手より相手が嫌がる手を指すべきなのですが、相手が嫌がる手を見つけるのは容易ではありません。しかし、下手な将棋指しである筆者は、対戦相手が離席したときに相手の席に座って見たことがあります。なんと、「この手は指されたくない」という手がはっきり見えたのです(笑)。 さて、トルコ政府の立場に立って考えて見ましょう。外国の庶民に「高い金利を払いますから金を貸して下さい」と頼んでいるのはなぜでしょうか? それは、世界中の銀行に「低い金利で金を貸して下さい」と頼んで断られたからですよね。 筆者はトルコの事情に詳しくありませんが、世界中の銀行から断られたというだけで、相当高いリスクがありそうだ、ということが容易に想像できるわけです。通貨が暴落するリスクか、トルコ政府が破産して満期に償還されないリスクかのいずれかなのでしょうが、とにかくリスクがあるのです。