明日米移籍申請の西武・菊池雄星の本当のメジャー評価は?
さて、そうした一方、高く評価する球団でさえ「リスク」と捉える故障歴ゆえ、消極的なチームも少なくない。 あるア・リーグのゼネラル・マネージャー(GM)は、「うちは、パスする」と話し、続けた。「単年、もしくは2年程度で話がまとまるなら別だが」。 もう少し詳しく、説明してもらった。 「彼の成績を見ると、イニング数が決して多くない。つまり、ケガをして戦列を離れているからだ。特に、肩の故障が多いのが気になる。肘ならば手術で治る。しかし、肩は厄介だ。実は、高校時代から彼を見ている。文句なしの逸材だ。ただ、どうしても長期契約には、慎重にならざるを得ない」 ポスティングの制度的な部分でも、二の足を踏む。 「大谷翔平(エンゼルス)の場合、25歳以下だったので、ルール上マイナー契約しか結べなかった。2000万ドル(約22億6900万円)の譲渡金を払う必要があったが、それでも格安だった。しかし、27歳の菊池の場合は、そのルールが適用されないので、実質的にフリーエージェントだ。契約の上限もない。どの程度の相場になるかだが、安い買い物にはならないだろう。肩の故障歴のある選手に対してマネーゲームを仕掛けるのは、我々としてはスマートと思えない」 別のチームのGMも肩のリスクを指摘した上で、こんなシナリオを口にした。 「欲しい人材ではある。可能なら、“前田契約”を交わしたい。年俸を安くして、出来高に厚みを持たせる契約だ。年俸300万ドル(約3億4000万円)でいいなら、出来高で最高1000万ドル(約11億3000万円)をつけてもいい」 2016年、前田健太はドジャースと8年総額2400万ドル(約27億2300万円)で契約を交わした。格安と映ったが、前田は交渉前の健康診断で右ひじに問題があることが発覚。将来、手術の可能性があることから、年俸は300万ドル(約3億4000万円)に抑えられ、イニング数、先発回数をベースとして出来高(満額で年1015万ドル、約11億5000万円)がつけられた。 もっともそれはチームにしてみれば虫のいい話で、菊池の代理人を務めるスコット・ボラス氏が、それを許すはずがないが、菊池も健康診断でどこかに異常が見つかれば、そんな契約もあるということか。 「現状、他に選択肢があるようだから、チャンスはないと思っているが、準備はしておくよ」