円満な夫婦だったのに、同居きっかけで「セックスレス」に。不穏な空気の流れを変えた、41歳夫のレス克服の軌跡
世界でも類を見ない人口減少社会を迎えている日本は「失われた30年」と呼ばれるように、年々、経済が弱体化したことも少子化の要因となっていわれています。 【データ】10人に1人が、配偶者からの繰り返しDVを受けている それと同様に深刻な課題のひとつが日本人のセックスレスの常態化です。 25年ぶりに実施された『性機能障害の全国実態調査に関する報告』(2023)によれば、年齢別EDの有病率は50歳以上が41.7%、また性交頻度が1カ月に1回未満(1カ月間に1度も性交がない)を「セックスレス」としたところ、全体の70.4%が該当しました。日本は少子高齢化と同時に、恐るべきレス社会に突入していたのです。 こうした社会課題について男性側の視点から執筆を続けるライター・山下あつおみ氏が、レスを抱えた夫婦問題についてレポートします。 【無子社会を考える#8】
結婚前後の幸せな日々、母と同居したきっかけ
「妻とコミュニケーションを密にとること、これが夫婦円満の秘訣だと思います」 このように語るのは神奈川県・小田原在住のアキラさん(41歳/会社員)です。 アキラさんの家庭は当初は妻(36歳・パート)と娘6歳の3人家族でした。 結婚したのは8年前、友人の結婚式の二次会で意気投合した二人はすぐに付き合い、9ヶ月後には結婚したそうです。結婚当初は何もかもが順調そのものだったそうです。 ところが子どもが無事に生まれて1歳になった頃に状況が変わり、アキラさんの母親と同居することになったのです。 「きっかけは私の母親が足を骨折してしまい、完治するまで日常生活に支障をきたすことから、一時的に私たち夫婦の家で同居することにしたんです。まだ娘が1歳になったばかりで、母がいることで妻も心強いと言っていました」 ちなみにアキラさんの実家は小田原から車で30分ほどの距離にあり、父親はすでに他界しています。奥様の実家は九州と距離があるため、これまでも何かあったときにすぐに会えるのはアキラさんの母親という生活環境でした。 「結局、母の治療から完治まで半年程度かかったのですが、その間に娘が母と仲良くなったこともあり、それ以降、頻繁に自宅に来るようになったんです。そのときは上手く行くと思っていたのですが、今にして思えば私の見込みが甘すぎたと思います」 アキラさんの家に母親が頻繁に来るようになり、娘が3歳になるころに実家を売却して、母と同居する決断をし、それ以降は家族4人暮らしとなったそうです。