【悲劇の調書】「女装は人を楽しませるためだと思っていた」ススキノ事件・被害者の姉と長男が「真実を知りたい」「釈放シナリオへの怒り」
「嫌がる人に無理やりするような人じゃない」
被害男性の姉もまた、深い悲しみを抱えている。彼女の調書も読み上げられた。 「弟は週末にススキノへ遊びに行くことが多いと知っていたので、首のない遺体が見つかったという報道が出たとき、少しだけドキドキしたが他人事でした。7月3日の夜、義理の妹(被害者の妻)から“夫が家に帰ってこない、出勤していないと会社から連絡があった”と伝えられ、胸がザワザワしました。信じられないが、もしかしたら、まさかという思いで、一緒に警察に行きました。 刑事さんから体の特徴などの質問をされて、さらに(札幌)中央署の刑事さんが来て、防犯カメラ映像を見せられ、胸が苦しくなり、喉が渇いてしかたなかった。7月4日に遺体と弟の指紋が一致したと聞きました。受け入れたくありませんでした」(被害者の姉の供述調書より)
姉の調書によると、被害者の母は認知症が進んでいて事件のことは伝えてもわからないと思うといい、同じく認知症を患う父にも「伝えるとショックを受けると思うので言いません」という。被害男性の姉は「弟は人を楽しませることが好きな優しい人」とも述べていた。 「女装をしていたのも、人を楽しませるためだと思っていた。加害者をレイプしたという報道があったが、嫌がる人に無理やりするような人じゃないと皆が言っています。なぜ弟が殺されることになったのか、ちゃんとした真実が知りたいです」(同前) 遺族はまだ悲しみの底にいる──。 ◆取材/高橋ユキ(ジャーナリスト)