鈴木清順「東京流れ者」4Kデジタル復元が実現、海外映画祭で初披露&9月ソフト発売
鈴木清順の監督作として1966年に製作された「東京流れ者」が、オリジナルネガより4K画質でデジタル復元。明日6月22日にイタリアの第38回チネマ・リトロバート映画祭(ボローニャ復元映画祭)でワールドプレミアされる。このたび同作を収録したBlu-ray BOX「セイジュンと流れ者」が9月4日に発売されることがわかった。 【画像】「鈴木清順生誕100周年記念シリーズ ブルーレイボックス其の参『セイジュンと流れ者』」商品画像 本作は渡哲也が元ヤクザの“不死鳥の哲”を演じ、松原智恵子がヒロイン・千春に扮した歌謡アクション作品。現実とはかけ離れたヴィヴィッドな色彩が映えるセットが特徴的で、鈴木の“清順美学”とも評される演出が遺憾なく発揮された代表作として知られる。国外の評価も高く、かつてデイミアン・チャゼルが「ラ・ラ・ランド」でオマージュしたことも明かした。 今回の復元作業は、第79回ヴェネツィア国際映画祭クラシック部門で最優秀復元映画賞を受賞した「殺しの烙印」と同じくIMAGICAエンタテインメントメディアサービスのチームによるもの。当時使用されていたフィルムの質感を生かした修復を行い、鈴木が撮影当時にイメージしたであろう色彩豊かな映像を復元したという。フィルムのカラー作品を“正しく復元すること”を入念においた修復過程は、同社のサイトで詳しく解説されている。 松原は「わたしが清順監督とご一緒させていただいた最後の作品です。哲也さんには、演技で悩んでいるときに色々とアドバイスをいただきました。木村威夫さんの作られたセットがとても印象に残っております。わたしにとって非常に思い出の深い作品です」「一人でも多くの方に、鈴木清順監督の不思議で素敵な世界を楽しんでいただけますと幸いです」とコメントを寄せた。 チネマ・リトロバート映画祭では「Recovered and Restored」部門で上映。選出に伴い「ジャンル映画の中で最も素晴らしい作品のひとつであると確信しています! 鈴木監督が日活で撮った作品は、日本映画界で唯一無二のものであり、いかなる基準から見ても驚異的です」「60年近く経った今もなお、映画の潜在的な可能性を強く感じさせます」と発表している。 「セイジュンと流れ者」は「鈴木清順生誕100周年記念シリーズ」として発売されているBlu-ray BOXの第3弾。「東京流れ者(4Kデジタル復元版)」のほか、「刺青一代」「探偵事務所23 くたばれ悪党ども」「花と怒涛」「ハイティーンやくざ」「くたばれ愚連隊(4K版)」「浮草の宿(4K版)」が収録される。封入特典には全52ページの「清順監督使用秘蔵台本復元ブックレット」が用意された。価格は税込3万3000円。 ■ 松原智恵子 コメント 「東京流れ者」はわたしが清順監督とご一緒させていただいた最後の作品です。 哲也さん(渡哲也)には、演技で悩んでいるときに色々とアドバイスをいただきました。 木村威夫さんの作られたセットがとても印象に残っております。 わたしにとって非常に思い出の深い作品です。 その「東京流れ者」が4Kデジタル復元によって高画質になり、チネマ・リトロバート映画祭での上映、ブルーレイボックスでの発売、特集上映などたくさんの人に改めて知ってもらう機会ができたこと、とてもうれしく思っております。 一人でも多くの方に、鈴木清順監督の不思議で素敵な世界を楽しんでいただけますと幸いです。 皆様、ぜひお楽しみください。 ■ チネマ・リトロバート映画祭「東京流れ者」選出コメント この作品を映画祭の観客に観ていただけるよう、修復が完了するのを心待ちにしていました! 私たちは、この作品がこれまでに製作されたジャンル映画の中で最も素晴らしい作品のひとつであると確信しています! 鈴木監督が日活で撮った作品は、日本映画界で唯一無二のものであり、いかなる基準から見ても驚異的です。特に「東京流れ者」は、驚くほどの生命力と瑞々しさを獲得しており、よく指摘されているように、60年近く経った今もなお、映画の潜在的な可能性を強く感じさせます。 (c)日活株式会社