シルバー人材センターに「アシストスーツ」…体力衰え理由の退会防ぐ、厚労省がモデル事業
厚生労働省は、足腰などを補助して負担を軽減する「アシストスーツ」をシルバー人材センターの高齢者に貸与するモデル事業を実施する方針を固めた。体力面で不安を抱える高齢者が働き続けられるように支援する狙いで、モデル事業の成果や課題を全国のセンターに周知し、アシストスーツの活用を促したい考えだ。 【イラスト】アシストスーツの活用例
モデル事業は2025年から全国20か所程度で実施する。厚労省は今年度の補正予算案に関連経費1億9000万円を計上した。
アシストスーツは、モーターなどが駆動する力で重い物を持ち上げるのを助ける電動型のほか、ゴムの伸縮などを利用して腰や腕を支えてくれる簡易なタイプもある。人材センターでは庭木の枝切りや農作業、地域によっては雪かきなどの作業を請け負っている。高齢者には腰などへの負担が重い作業もあり、課題となっていた。センターを退会する高齢者の多くは、体力の衰えを理由に挙げているという。
同省によると、アシストスーツを導入しているセンターはまだ少ない。1台で数万から100万円程度かかる調達費用が問題になるほか、まだ使いやすさが知られていないことが背景にあるという。
同省は貸与によるモデル事業を実施することで、スーツについて広く知ってもらうことを目指している。実際にアシストスーツを使った高齢者の意見を踏まえてどういった作業に使えるのかも検証する。
65歳以上の就業者数は914万人(23年)で、20年連続で前年を上回っている。政府は今年9月に閣議決定した高齢社会対策大綱で、年齢にかかわらず希望に応じて働ける環境を整備するとしている。
◆シルバー人材センター=地域の家庭や企業、官公庁から仕事を受注し、定年退職者らの高齢者の会員に依頼する。会員は全国に67万人(男性44万人、女性23万人)おり、平均年齢は74・8歳。