阿部真生騎 予選1回目はベストタイムを記録も、転倒とマシントラブルで予選2回目をリタイヤ【CIV第5戦】
「ノリック」故・阿部典史の長男である阿部真生騎は、2023年から渡欧。VFT Racing Webike Yamahaからスーパースポーツ世界選手権(WSBK)スーパースポーツ600に参戦している。2年目となる今年の初戦はイタリア・CIVイタリアン・スピード・チャンピオンシップ(CIV)へ挑戦を開始した。今回はその第5戦の様子をお伝えしたい。 【画像】イタリア・CIVイタリアン・スピード・チャンピオンシップの様子をギャラリーで見る(12枚) 文/Webikeプラス 佐藤洋美、写真/VFT Racing Webike Yamaha
イタリア選手権(CIV)第5戦ムジェロ
阿部真生騎 予選1-39番手 レース1- トラブルリタイヤ 予選2-予選35番手 レース2-トラブルでスタート出来ず 阿部真生騎は第4戦ミサノを終えて、イタリアに残り、ルーティンのランニングをこなし、週に1~2度は、ファビオ監督とバイクトレーニングに出かけて過ごした。トラブル続きで、レースを戦えていないフラストレーションは大きく、レースをこなし経験を重ねることで前に進みたいと願った。 だが、レース1はマシントラブルでリタイヤを余儀なくされる。レース2もマシントラブルが発生してスタートすることさえできなかった。走行毎にタイムアップが出来ているだけに、トラブルでレースが出来ないことにやるせない思いを抱えることになった。
マシントラブルと転倒に悩まされる第5戦
────────── 8月29日木曜日 ────────── 今季2度目の大会となるムジェロは、コースを知っていることは強みとなりジャンプアップが期待された。だが、全大会では転倒が多かったこともあり、走行経験を積むためにも転倒しないことを目標として走り出した。 フリー走行1回目、2回目をこなし、コースを思い出しながら、攻めるがタイムアップにつながらず課題を残す。 ────────── 8月30日金曜日 ────────── 予選1回目-39番手 フリー走行3回目が行われ、ベストタイムを記録できるようになり、予選へと望みを繋いだ。予選1回目にはリネージュ・ダビデ(ドゥカティ)が1分54秒129でトップタイム。真生騎は1分58秒092とベストタイムを更新するが、狙ったタイムには届かず予選39番手となる。「走り始めから同じところでタイムロスしてしまっている。上手くアクセルを開けながら走るライン取りがまだ掴めていない」とライディングの改善を目指す。 ────────── 8月31日土曜日 ────────── 予選2回目3-35番手 レース1-トラブルリタイヤ 予選2回目には、ライバルの背後につけ、コース攻略を学ぼうとコースインするが、うまくターゲットが見つからず、探している時に赤旗が出て走行中断となる。トップタイムは、予選1回目と変わらずにリネージュ・ダビデ(ドゥカティ)で1分52秒969と速さを示す。2番手オッタヴィアーニ・ルカ(MV・アグスタ)が1分54秒087で大きな差を付けた。 真生騎は再開された走行で、ターゲットをみつけて追いつくがオーバーペースとなりブレーキングでミスしてフロントからの転倒となる。タイムアップはできなかったが、この時の走行データが、課題解決につながるもので、決勝に向けてのセッティングの方向性を示すものとなった。1分58秒089が記録として残り35番手となり追い上げを誓った。 予選後に行われたレース1ではスタートをミスしてしまい挽回している間に、前の集団と離れてしまうがタイム的には予選タイムよりも速いペースで、その集団と変わらなかった。差も広がらずに前が見えていたことで、ペースアップして追いついて行こうと思っていた矢先にエンジンがストップしてしまう。そのままリタイヤとなった。 優勝はダビデ。2秒024秒差まで迫ったルカが2位。3位にマウチャニ・ステファノ(ヤマハ)が入り表彰台に登った。 ────────── 9月1日日曜日 ────────── レース2-トラブルでスタート出来ず エンジントラブルで、またしもリタイヤとなったレース1、そして、レース2前に行われたウォームアップランでも、レース1と同じ症状でエンジンストップ、走り続けることが出来なかった。 レース2に向けてマシンを確認するが、問題を解決することが出来ずにスタートさえ出来ない状況となった。 優勝はルカが3台のトップ争いを僅差で制して優勝を飾る。2位にダビデ、3位にはマントヴァーニ・アンドレア(ドゥカティ)が入った。 「前戦から4戦連続で決勝を走り切ることが出来ていない。トラブルが多すぎるので、メカニックと監督に、どうして?と聞いたが、明確な答えが返ってこなかった。解決しようとしていることを信じるしかないので、自分でできることをやるしかないと思っています。 バイクトレーニングでは速いのに、集中出来ていないから結果が出ないと、監督から言われているので、これまで以上に集中して挑みます。これまで、ベストタイムを記録するまでに時間がかかっていることが問題なので、いつもの練習のように、転倒を恐れずに走行開始1本目のフリー走行からタイムアタックすること。どんな状況でも転倒を避けることを課題とします。 ブレーキングまでのタイムは悪くないのに、車体の向きを変えるのが遅く失速してしまう。もっとボトムスピードを上げてアクセルで向きを変えることで全体的にスピードが上がり、立ち上がりもスムーズでタイムアップに繫げることができると思います。これまでのブレーキングでは前の集団と変わらないのに立ち上がりで離されてしまっていたのですが、その課題解決のヒントを今回のレース1で得ることが出来ました。最終戦では、そこに取り組んでシーズンの締めくくりが出来るように挑みます」 最終戦となる第6戦は9月27日に開催される。
佐藤洋美