酒田海保、密漁疑いで15人書類送検 本県沿岸部でアワビやサザエ、海水浴などで許可なく
本県沿岸部で今年7~9月、アワビやサザエを密漁したとして摘発した県内外の男女計15人について、酒田海上保安部が漁業法違反や県漁業調整規則違反の容疑で書類送検していたことが30日、捜査関係者への取材で分かった。高級食材となるアワビは12個で、サザエは430個に上り、自家消費目的で、海水浴などで庄内浜を訪れた際、許可なく採捕していたという。 捜査関係者によると、書類送検された15人は県内11人(うち庄内地域在住5人)、県外4人で、全員漁業者ではないという。それぞれの容疑について任意で捜査を続け、このうち10人は、資源保護のため採捕が禁止されている大きさのアワビやサザエを取ったなどとして、県漁業調整規則違反容疑にも当たると判断。全員を今月上旬までに書類送検した。 アワビなどの悪質な密漁が全国的に横行していたことから、国は2020年12月、漁業法を改正。罰則を強化するなどし、取り締まりを強化している。アワビの他、ナマコ、シラスウナギを「特定水産動植物」に指定し、全ての海域で無許可の採捕を禁止した。特定水産動植物の無許可採捕の法定刑は「3年以下の懲役または3千万円以下の罰金」となっている。県規則では、殻の大きさが10センチ以下のアワビと2.5センチ以下のサザエの採捕は禁止されており、違反した場合「6カ月以下の懲役か10万円以下の罰金」が科されることがある。
国内だけでなく、海外でも高級食材として取引される海産物の密漁は、反社会的勢力の資金源となっていることもある。こうした事情が捜査当局が、厳しい姿勢で臨んでいる背景にはあるという。今回の酒田海保の摘発は、いずれも家族や仲間と海を訪れた際、自家消費用として出来心で取ってしまったケースだが、酒田海保は「少しならいいだろうや、自分で食べる分なら大丈夫などと、安易に考えないでほしい」と呼びかけている。