新女王アリサ・トルーが見せたネクストレベル。日本人選手からは開心那が2大会連続の銀メダル獲得「パリ2024オリンピック」スケートボード・女子パーク種目
【ラン2本目】 2本目では1本目で85点以上を出せた選手が得点を伸ばせない一方で、1本目で得点が伸びなかった選手はスコアアップさせる攻めのライディングをするなど、ラスト1本を残す前になんとか高得点を叩き出したいという強い気持ちが感じられた。その中でも90点台に乗せてきたのはトルーとブラウンだ。 まずは1本のミスを修正し、しっかりスコアを伸ばしてきたのはアリサ・トルー。ラン1本目では転倒もあり35.53ptとした彼女は、2本目ではボックスジャンプでの「バックサイド360」からディープエンドの「バックサイド540」、「キックフリップインディグラブ」など豪快な高難度トリックをクリーンに決めるのはもちろん、女子選手ではあまり取り入れられていないスイッチトリック、そして最後には「キャバレリアル360」など様々なトリックが含まれたランは90.11ptという評価を受け、暫定2位になった。 そんなテルーを追う形で多くの選手がミスするランを横目に、1本目のランをアップデートしてきたのはスカイ・ブラウンだ。1本目と同様にエクステンションでの「インバート」や凱旋門ヒップと呼ばれるセクションで「アーリーウープ」など様々なセクションで豊富なバリエーションを見せると、2本目ではレールオーバーの「フロントサイドキックフリップインディグラブ」や「バックサイドステールフィッシュグラブ」、そして最後には「フロントサイド360」を決め切りフルメイクで終えるとスコアを91.60ptへ引き上げると暫定2位に勝ち上がりトルーを3位に追いやった。
【ラン3本目】 最終ランとなった3本目はほとんどの選手が自身のベストスコアを更新し、そのうち3名は90点台を叩き出すという最後まで順位が分からない展開にもつれ込み、まさにオリンピックの舞台にふさわしい世界最高峰の戦いが繰り広げられた。 そんな3本目のランでまずベストスコアを残したのはブラジルのドーラ・ヴァレーラ。まずボックスジャンプレールでの「バックサイドフィーブルグラインド」をメイクすると、ボックスジャンプでの「バックサイド360」やセットバックレールでの「バックサイドアクセルストール」、そして最後には「バックサイドキックフリップインディグラブ」を決めて89.14ptと決勝に勝ち上がれなかったベンチュラやパチェコの分も大健闘し4位で2度目のオリンピックを終えた。 そしてヴァレーラに追随するもメダル獲得には食い込めなかったのはフィンランドのヘイリ・シルヴィオとスペインのナイア・ラソ。シルヴィオは1~2本目で70点台と伸び悩んだが3本目でボックスジャンプでの「バックサイド360」からディープエンドの「バックサイド540」、「フロントサイドボードスライド to フェイキー」そして、「フェイキー540 to フェイキー」を決め切り88.89ptと悪くないスコアを残したもの5位で大会を終えた。またラソも1~2本目でミスが目立ちスコアを伸ばせないでいたが、3本目では「バックサイドテールスライド to トランスファー」や「フロントサイドクレイルスライド」、「バックサイド360」をメイク。ラストトリックには「バックサイドエアー to フェイキー」を決めて86.28ptとし7位で大会を終えた。 また特に今回辛酸を舐める結果となったのは草木ひなの。1本目と2本目では転倒があり後が無い3本目。ボックスジャンプでの「バックサイド360サランラップ」を皮切りに、「バックサイドキックフリップインディグラブ」「フロントサイドツイークグラブ」などをメイクしていくも終盤の「ボディバリアル540」で転倒。スコアを69.76ptと全体8位で大会を終えたが終始笑顔でライディングしていた姿から次回への望みが感じられた。 そしてこの3本目で巻き起こったのはトルー、ブラウン、そして開によるメダル争い。まず金メダルに大手をかけたはトルー。このランでは2本目のトリックをベースに、エクステンションでの「ボディバリアル540」や最終トリックの「ノーズプラント to フェイキー」など豪快な高難度トリックにところどころアップデートして93.18ptというスコアを叩き出し暫定1位になった。 そのトルーのスコアを超えて優勝の座を勝ち取るべくラストランに臨んだのはスカイと開。まずスカイは3本目のランとほぼ同じトリックをセレクトするも、全体の完成度を一段階引きあげたランを見せ92.31ptとスコアを伸ばした。トルーのスコアには届かなかったものの開のスコアを上回り暫定2位に。 3位に順位を落とすも最終滑走者となった開は緊張感が最高潮に高まる中で金メダルを目指してラストランに挑む。2本目でミスがあった「フロントサイドキックフリップ」を決め切れれば得点を伸ばせる可能性が高い展開の中、高得点を残した1本目のトリックをベースにつないでいくと直前の「バックサイドステールフィッシュグラブ to ディザスター」もメイクし、その後の「フロントサイドキックフリップ」もしっかり決め切るとトルーのスコアには届かなかったが92.63ptをマークしてわずかブラウンのスコアを超えて銀メダル獲得を決めた。 この時点でトルーの金メダル、ブラウンの銅メダルが決まり、表彰台はトルー、開、ブラウンの順となった。やはり今年OQSとX Gamesで優勝を総なめしていたトルーが強さを見せた大会で、彼女の測りしれない可能性を感じた。今後いかに彼女を日本人選手勢が抑えられるかで各世界大会での優勝が確実なものになっていくに違いない。
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