収益目的の「インプレゾンビ」なぜ現れる?ITジャーナリスト・三上洋が指摘「X側が収益化を進めたのがいけない」
山崎怜奈(れなち)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(ダレハナ)」(毎週月曜~木曜13:00~14:55)。9月3日(火)の放送では、ITジャーナリストの三上洋(みかみ・よう)さんが登場。7月に出版された新刊の話やSNSで問題になっている「インプレゾンビ」について話しました。
◆28年間、本が出なかった理由
三上さんは1995年からフリーライター・ITジャーナリストとして活動し、情報番組でITに関するニュースの解説を数多く担当するなど、ITやセキュリティ、SNSなどのプロフェッショナルとして活躍されています。そんな三上さんの著書「深掘り! IT時事ニュース──読み方・基本が面白いほどよくわかる本」(技術評論社)が7月31日(水)に出版されました。 実に28年ぶりの単独著書となりますが、ここまで期間が空いた理由を伺うと、「原稿を書くのがめちゃくちゃ遅いライターでして……本の話をいただいては書けなくて白紙になるのを繰り返していたのですが、この本の担当編集さんがすごく辛抱強い方で、4年間も待ってくれました」と苦笑い。とはいえ、時事ニュースを取り扱った内容のため、執筆を開始した4年前から刻一刻と状況は変わり、結局、半年かけてすべて書き直すこともあったそう。 また、同書を出版することになったきっかけは、テレビなどでニュースの解説を依頼された際に作成する“メモ”だったと言います。「言ってみれば、テレビやラジオのスタッフさんは(ITなどの分野は)専門外なので、その問題の背景とか、対策はどうするのか、といったことを一から箇条書きで簡単にまとめたメモを作って各局に送っていたんです。そうしたら、そのメモが便利だと言われ、『本にしたほうがいいのではないか』と話をいただいて、やらせていただきました」と振り返りました。
◆話題のインプレゾンビ、なぜ発生する?
最近、三上さんがコメントを求められることが多いと言う話題が、X(旧Twitter)で問題視されている「インプレゾンビ」(閲覧数増による収益目的で迷惑投稿をするアカウント)について。今夏、台風10号が日本列島を横断した際にも、インプレゾンビによって偽の災害画像がSNS上に出回りました。 この問題について、れなちが「偽の情報に足元をすくわれないためには、どうしたらいいのでしょうか?」と尋ねると、三上さんは「わりとイージーで、インプレゾンビの場合は、情報を流した本人のプロフィールと以前の投稿を見るとアラビア文字ばかりだったりするので、そこで判断できます」と答えます。 ただ、多くの人がそこまで確認しないと言及し、そのうえで「“ショッキング”“驚き”“怒り”“怖い”という(ネガティブな)感情が動いたときは、ちょっとブレーキをかけてほしい。ワンクリックでプロフと過去投稿は見れば偽物だと分かりますので」と呼びかけます。 三上さんによると、投稿の表示回数(インプレッション)による収益は、どんなに頑張っても数千円か1万円程度だそうですが、それでもインプレゾンビが現れるのは「発展途上国の方からすると十分な副業になるから」とのこと。それを踏まえて、三上さんは「道義的な責任を感じず“投稿すれば副業になるんでしょ?”という形を作ってしまった。これは明らかにX側が収益化を進めたのがいけない」と指摘していました。 (TOKYO FM「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」2024年9月3日(火)放送より)