リンゴ病、首都圏で「過去最大」の流行継続 ワクチンなし、妊婦に流産などリスク 何ができる?感染対策は
何ができる?感染対策は
リンゴ病に詳しい、手稲渓仁会病院不育症センター長で医師の山田秀人さんに話を聞きました。 山田さんは妊婦がリンゴ病にかかってしまった場合、「6%で胎児死亡や、4%で赤ちゃんの体がむくんだりおなかや胸に水がたまったりする『胎児水腫』が発生するという報告があります」と説明します。また、妊娠初期に感染すると、特に赤ちゃんへの影響のリスクが大きいこともわかっているといいます。 子どもの頃にリンゴ病にかかっていて免疫があれば、妊婦も感染しづらくなります。一方で、山田さんによれば「日本人の妊婦の抗体(免疫)保有率は、調査によってもやや幅があるが、およそ20~50%」です。半数以上の妊婦がウイルスに感染する可能性があります。 子どもが集まる保育施設で流行しやすく、母親の妊娠中に上の子が保育施設で感染し、家庭内で母親にも感染するケースも多いとみられています。 一方で、ヒトパルボウイルスB19については、ワクチンもなく、感染した母親から胎児への感染を予防する方法も確立されていません。 山田さんは「感染者の咳やくしゃみを吸い込まないようにマスクをすること、感染者と食器などを共有しないこと、子どもにもキスのような感染につながるスキンシップをしないこと、よく手を洗うことやこまめにうがいをすることが感染予防になる」と説明します。 また、アルコール消毒が効きにくいため、流水や石けんでこまめに手を洗い、自分専用のタオルで手を拭くことも大事だといいます。 妊婦がリンゴ病の人と接触した、かかった可能性がある場合は、症状だけでの診断が難しいため、接触の有無や職業などの問診に加えて、血液中の抗体の有無を測定します。 妊婦がリンゴ病に初めて感染したことを示す抗体が陽性であれば、週1回程度、エコーなどで胎児の状態を調べ、異常があればより専門的な医療機関で、胎児輸血などの高度な治療が施されることもあるということです。 山田医師は「まずはリンゴ病が胎児の流産・死産の原因になることを知った上で、新型コロナウイルス感染拡大時のような感染対策で、リンゴ病も予防できることを多くの人に知ってほしいです」と話しています。