50代の夫婦で「貯蓄ナシ」の賃貸暮らしです。老後はいざとなったら「生活保護」は受けられますか? 貯蓄がなく、持ち家もなければ受けられると聞いたことがあります
50歳を過ぎて老後が視野に入るようになると、生活を維持していけるか不安になることもあるのではないでしょうか。老後資金となる貯蓄や持ち家がない場合はなおさらでしょう。 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査) 令和5年調査結果」によると、50代で預貯金がない、または預貯金はあるが運用や将来の備えとしてのものはないと答えた人を合わせた「金融資産を保有していない」世帯は27.4%と、全体の4分の1以上という結果でした。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの? 万一経済的に破綻してしまったとき、最後の砦となるのが「生活保護」です。そこで本記事では、高齢者の生活保護受給の状況と、生活保護による住まいに関する補助や、生活保護を受ける際の注意点などについて解説します。
高齢者でも生活保護は受けられる
生活保護は国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障するための国の制度です。要件を満たせば申請でき、年齢による制限はありません。 生活保護を受けている世帯に多いのが高齢者です。厚生労働省の「生活保護制度の現状について」(令和4年6月)によると、65歳以上の人だけの世帯またはこれに18歳未満の人が加わった「高齢者世帯」は生活保護受給世帯の56%を占め、91万3000世帯となっています。生活保護世帯数は平成27年3月をピークに減少していますが、全体に対する高齢者世帯の割合は逆に増えています。 なお、年金を受けながらの生活保護受給も可能です。この場合、認定される最低生活費から年金額が収入として引かれた額が生活保護費となります。
生活保護には「住宅扶助」がある
生活保護にはアパートの家賃などに充てるための「住宅扶助」があります。生活保護費は住まいのある地域が「級地」という分類のうちどれに当てはまるかによって金額が変わりますが、住宅扶助についても級地別の基準額の範囲内で支給されます。 例えば東京23区の場合、1級地に該当するため住宅扶助の基準額は単身世帯で5万3700円、3人世帯で6万9800円となり、この範囲内で実費分が支給されます。 ただし東京23区の家賃相場は、ワンルーム・1K・1DKでも最も高い千代田区で約13万8000円、逆に安い葛飾区でも約7万円(2024年4月19日時点)であり、暮らす地域や物件によっては住宅扶助だけで家賃すべてをまかなうのは難しいようです。 家賃のより安価な物件や地域へ転居する場合、敷金・礼金や火災保険料などは一定の限度額の中で住宅扶助から支給されます。