子がいない場合の相続人は妻だけではないって本当ですか? 妻は同年齢で、子どもはいません。誰が相続人になるのでしょうか?
「相続対策」が必要なのは富裕層だけではない
富裕層でなくても、相続対策をする必要があります。 「相続対策」には、 ●分割対策 ●納税資金対策 ●節税対策 の3つのポイントがあります。 多くの人が「相続対策」と聞くとすぐに節税対策のことを思い浮かべますが、残された人がもめないようにすること、もめていても遺産分割を進められるようにすることのほうがより重要な対策だといえます。
子がいない夫婦は「遺言書」の作成を
お子さまがおらず、配偶者にすべての財産を残したい、と考えている方が生前にしておくべき「相続対策」の第一歩は「遺言書」の作成です。 被相続人の兄弟姉妹には「遺留分」がありません。遺留分とは、相続の際に一定の範囲の相続人が最低限取得できる遺産の割合です。配偶者や子(直系卑属)、両親(直系尊属)には遺留分はありますが、兄弟姉妹にはありません。 民法で定めている法定相続分はあくまでも目安です。遺言書がある場合、遺言書で指定された分割方法が法定相続分よりも優先されます。ただし、被相続人が作成した遺言書の内容があまりにも偏ったものである場合に、遺留分がある相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことにより、遺留分相当額を受け取る権利が発生します。 「兄弟姉妹には遺留分がない」ということは、被相続人が生前に「全財産を配偶者に相続させる」という一文を記した「遺言書」があれば、遺産分割協議を行う必要がなくなり、遺言書どおりにすべての財産を配偶者が相続できることになります。
遺言書はどのように作成すればよい?
遺言書の作成には費用がかかる、と思い込んでいる方も多いようです。また、面倒くさい、自分が死ぬときのことなど考えたくもない、と考えて向き合わない方もいます。しかし、多くの方が「自分が死んだあと、周りの人に迷惑をかけたくない」とも思っています。「遺言書」があるだけで避けられるトラブルもあるのです。 一般的に用いられる遺言書の方式には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人の立ち会いのもと、作成される遺言書です。作成には、財産額等に応じて費用がかかりますが、作成された遺言書は公証役場に保管され、信頼性が高いものだといえます。 自筆証書遺言は原則として、本文、名前、日付などを自筆(手書き)で作成し、押印する必要があります。また、相続発生後に家庭裁判所で「検認」手続きをする必要もあります。 自筆証書保管制度を利用すれば、保管の申請手数料(3900円)がかかりますが検認手続きは不要になります(保管申請の際に「本人確認」も行われますので、本人が保管所へ出向く必要があります)。 この制度ができたおかげで、遺言書の作成のハードルはずいぶん下がったように思います。詳しくは法務省「自筆証書遺言書保管制度」の紹介ページ(※)をご確認ください。