子がいない場合の相続人は妻だけではないって本当ですか? 妻は同年齢で、子どもはいません。誰が相続人になるのでしょうか?
最近、「お子さまがいないご夫婦」が増えているように感じます。 お子さまがいないからこそ、相続についていろいろ考えておくべきだと思いますが、あまり深く考えていない方が多いのも現実です。お子さまがいない場合に「相続人は誰になるのか」についてしっかり把握されていないことや、間違えた認識をされていることも少なくありません。 このコラムを読んでいただいている方ご本人だけでなく、身内にお子さまのいない叔父さま、叔母さまがいらっしゃる方、お子さまがいない兄弟姉妹がいらっしゃる方にぜひお読みいただければと思います。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
子がいない方の相続人は誰?
民法では「法定相続人」、すなわち、法的に相続人となる人を定めています。 亡くなられた方(被相続人)に子がいれば、配偶者と子(第1順位)が法定相続人です。子がいない場合で両親のいずれかでもご存命ならば、被相続人の配偶者と両親(第2順位)。子がなく、両親もすでに他界されている場合は配偶者と被相続人の兄弟姉妹(第3順位)とされています。 お子さまがいない場合の相続人は配偶者だけではないことに注意です。 お子さまがいらっしゃらないご夫婦の中には、何もしなくても夫が亡くなった時、その財産はすべて妻が相続することになると思い込んでいる方が少なくありません。この認識の間違いをそのまま放置してしまうと、ご自身や配偶者が亡くなられた後で大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。
遺産分割の話し合いができない!?
被相続人が高齢であれば、その兄弟姉妹も高齢である場合が多いでしょう。兄弟姉妹に認知症の方がいらっしゃる場合や、連絡が取れない人がいる場合、遺産分割協議が進められません。 すでに兄弟姉妹の中で亡くなられている人がいた場合、その子(被相続人にとっての「甥・姪」)が「代襲相続人(亡くなられた相続人の権利を引き継ぐ人)」になります。 甥・姪とは会ったこともない、ということもあるでしょう。そうした遠縁の親戚と遺産分割協議(遺産分割の話し合い)を行おうと思ってもスムーズに進まないことは容易に想像できます。なかには、連絡が取れない場合もあります。遠方に住んでいる、海外に住んでいるということもあります。 兄弟姉妹が相続人になる場合、遺言書がなければ、残された配偶者は被相続人の兄弟姉妹と「遺産分割協議」を行う必要があります。兄弟姉妹の法定相続分は1/4ですので、被相続人の財産の1/4は兄弟姉妹に渡さなければならない可能性があります。 もちろん、話し合いの結果、兄弟姉妹が「自分たちは相続しなくていいよ」という場合には問題ありませんが、その場合でも「遺産分割協議書」の作成は必要です。残された配偶者と被相続人の兄弟姉妹との仲が悪いと、遺産分割協議でもめてしまう可能性が高くなります。 配偶者がすべて相続するものと思っていたのに、相続発生後に被相続人の兄弟姉妹に財産を分けなければならないことがわかっても、現預金だけでは支払えず、泣く泣く住んでいた住居を売却して資金を確保しなければならないようなこともありえます。