高級「佐藤錦」シワシワに…生産者の悔し涙 シャインマスカットは日焼け、実割れ
■「佐藤錦」シワシワに…悔し涙の生産者
異変は、日本一の生産量を誇るサクランボにも…。 松栗 植松真二さん 「今年、これお客さんに出せるかな?っていうようなものばっかりだったんで。本当にしんどかったです」 収穫時期を終え、一息つくはずの畑で涙を流すのはサクランボ農家の植松さん。植松さんの畑で栽培していたのは、1キロ1万円以上するものもある高級サクランボ「佐藤錦」。 つやつやと宝石のような大粒の実をつけるはずが…。 植松さん 「これが佐藤錦なんですけど」 「(Q.これ佐藤錦ですか?全部シワシワになっていません?)全部水分が抜けて、ドライフルーツみたいに」 赤いルビーと呼ばれ、大粒の実が自慢のはずの“佐藤錦”は、その面影もなく“はり”や“艶(つや)”を失いシワシワに。触ってみると…。 植松さん 「(Q.ブニョブニョしていますね)ビニールハウスの中が40℃以上の温度になったりするんで、電子レンジで温めたみたいな状態になるんで」 6月、30度以上の真夏日が続いた山形県。雨に弱いサクランボを守るための農業用ハウスの中は、40℃を超える日も。あまりの暑さで水分が抜け、シワシワの状態になってしまったという。 植松さんの畑では、4割のサクランボが被害を受け、収穫量は平年の3分の1に。被害額は、およそ2000万円に上る。 植松さん 「大不作と変わらないですね。1年間頑張ってきたその頑張りが、本当に踏みつぶされたような感じだったんで。精神的にちょっとしんどいですね」
■やりきれない思いの中…追い打ちをかける作業
山形県全体でも、サクランボの販売量は去年のおよそ4割にまで落ち込んでいる。 植松さん 「サクランボ売ってくださいみたいな(畑に)訪ねてくる人がかなりいっぱいいて」 売りたくても売れないという事態に、無念の表情を浮かべる植松さん。やりきれない思いの中、追い打ちをかける作業がある。 植松さん 「サクランボの軸が残ると、病気ついちゃうんで。来年に影響しちゃうんで、全部落とす作業をしています」 出荷できないサクランボを一つひとつ手作業で落としていかなくてはならないのだという。 植松さん 「近所だけでも、今のところ3人の方から完璧にもう辞めるっていう。サクランボを作ることによってマイナス、マイナスで。どんどんお金がかかりすぎて。今後どうしていこうかなっていう不安と。不安しかないですね。本当にしんどかったんですよ」 年々厳しい暑さが常態化する中、苦労して育てても出荷できない状況がつづくなら廃業してしまおうという農家もいるという。